水の都

水の都とは

「水の都」という言葉は、運河や河川、水路、堀などが都市の景観形成や交通・交易に重要な役割を果たしている都市を指す愛称です。「水都（すいと）」とも呼ばれます。

水の都の概要

元々は、瀬戸内海航路の起点であり、海に囲まれた難波宮（現在の大阪）を指す言葉でした。低湿地で多様な水郷とは異なり、道路や水路、運河が交錯する地割が街の風景となる水辺都市を意味します。

世界の主な水の都

世界には、多くの「水の都」と呼ばれる都市が存在します。その代表的な例をいくつか紹介します。

ヨーロッパ

ヴェネツィア（イタリア）: アドリア海のラグーンの上に築かれた都市で、「アドリア海の女王」とも呼ばれる、世界で最も有名な水の都です。
ドゥブロヴニク（クロアチア）: アドリア海に面した都市で、「アドリア海の真珠」という別名を持っています。
アムステル[[ダム]]（オランダ）: アムステル川の河口に築かれたダムから発展した都市です。
ロッテルダム（オランダ）: マース川河口からの水路を利用した貿易で栄え、「水の都市（Waterstad）」という愛称があります。
ブルッヘ（ベルギー）: 運河を中心とした美しい町並みが世界遺産に登録されています。
ストラスブール（フランス）: ライン川沿いの貿易港はフランス最大の河川港で、港を中心に街が構成されています。
サンクトペテルブルク（ロシア）: 運河が縦横に走り、「北のヴェネツィア」とも呼ばれています。
ストックホルム（スウェーデン）: 島の上に築かれた都市で、「北欧のヴェネツィア」と呼ばれることもあります。

アジア

バンコク（タイ）: タイの首都で、タイ語で「バーン（グ）」＝水の都を意味しています。
無錫市（中国）: 長江と太湖に囲まれ、市内を大運河が流れています。
蘇州市（中国）: 楓江が流れ、「楓橋夜泊」にも詠まれています。大運河も通り、「東洋のヴェネツィア」とも称されます。
杭州市（中国）: 京杭大運河の終点で、市内には美しい西湖があります。

日本の主な水の都

日本国内にも、水の都と呼ばれる都市がいくつかあります。

水戸市（茨城県）: 那珂川と千波湖の間に位置し、かつては水戸城の城下町として栄えました。水戸という地名も、那珂川の舟運の河港として栄えたことに由来します。
新潟市（新潟県）: 信濃川と阿賀野川が注ぎ、信濃川右岸は四方を川と海に囲まれた「新潟島」です。
三島市（静岡県）: 源兵衛川が市中心部を流れ、豊富な湧水があることで有名です。
大阪市（大阪府）: 古代には難波宮が置かれ、瀬戸内海や大陸との交易で栄えました。多くの水路が開削され、「浪華八百八橋」と称されました。「水都大阪2009」も開催されました。旧国名（摂津・河内・和泉）も水に関係します。
西条市（愛媛県）: 豊富な地下水（うちぬき）があり、「水の都」を称しています。
熊本市（熊本県）: 世界の都市で唯一、水道水源を100%地下水で賄う「世界一の地下水都市」です。

かつて水の都と称された都市

かつては「水の都」と呼ばれていたものの、都市開発や環境変化によってそのイメージが薄れてしまった都市もあります。

東京23区: かつては多くの堀や川が張り巡らされていましたが、現在はその多くが埋め立てや暗渠化されています。
大垣市: 揖斐川、長良川など多くの河川が流れ、水都と呼ばれていましたが、近年は産業構造の変化により、イメージが薄れつつあります。

水の都を構想する都市

現在、「水の都」としての都市開発や構想を進めている都市もあります。

広島市: 太田川下流の三角州に位置し、水の都構想を進めています。
佐賀市: クリークと呼ばれる水路網が発達しており、その機能を活用した都市づくりを目指しています。

まとめ

「水の都」は、水と共生する都市の魅力的な姿を表す言葉です。それぞれの都市が持つ歴史や文化、景観の違いを知ることで、より深く「水の都」の魅力に触れることができるでしょう。

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