水ヶ江城

水ヶ江城は、文明年間（1469年～1487年）に龍造寺康家によって築かれた平城です。当初は小規模な館でしたが、龍造寺家兼による改修を経て城塞としての機能を備えるようになりました。

立地は、周囲に際立った地形的な険しさはありませんが、その弱点を補うために城の周囲には濠が巡らされていました。この濠は、防御力を高めるだけでなく、水上交通の要衝としての役割も担っていたと考えられます。

元亀から天正にかけての時代、大友氏は有明海から佐賀へと続く水上交通路を利用し、海上から佐賀への攻撃を企図していました。水ヶ江城は、その攻撃目標の一つとされていました。龍造寺氏にとって、水ヶ江城は重要な防衛拠点であり、大友氏の侵攻を食い止めるための最前線基地としての役割を担っていたのです。

龍造寺隆信は、龍造寺本家の当主となると、弟である龍造寺長信を水ヶ江城の城主として配置し、城の守りを固めさせました。隆信は、水ヶ江城の戦略的重要性を深く認識しており、信頼できる身内を配置することで、万全の防衛体制を敷いたのです。しかし、その後の鍋島氏による佐賀城築城に伴い、水ヶ江城はその役割を終え、廃城となりました。

現在、水ヶ江城の跡地には、東館跡の公園に龍造寺隆信の生誕を記念する石碑がひっそりと佇んでいます。往時の城郭を偲ばせる遺構はほとんど残っていませんが、石碑は、かつてこの地に城が存在し、激しい戦乱の歴史を刻んだことを静かに物語っています。

所在地は、佐賀県佐賀市中の館町７−１５です。交通アクセスは、JR長崎本線佐賀駅を下車後、佐賀市営バスに乗り換え、中の館バス停で下車、そこから徒歩約5分です。

水ヶ江城は、その規模こそ大きくはありませんが、戦国時代の佐賀における龍造寺氏の勢力拡大と防衛戦略において重要な役割を果たした城でした。現在では石碑のみが残る静かな場所ですが、その歴史的意義は決して小さくありません。訪れる人々は、石碑に手を合わせ、かつての戦乱の時代に思いを馳せることができます。

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水ヶ江城｜国立情報学研究所 文化遺産オンライン

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