水上ダムとは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

水上ダムについて

水上ダムは、長野県松本市、信濃川水系水上沢川に建設された多目的ダムです。高さ38メートルの重力式コンクリートダムで、洪水調節、不特定利水、上水道を目的としています。長野県が管理運営を行っており、ダム湖は「そよぎ湖」と呼ばれています。

歴史的背景

松本市北東部の四賀地域（旧東筑摩郡四賀村）を流れる会田川流域は、古くから農業用水として河川水を利用していましたが、降水量が少ないため慢性的な水不足に悩まされていました。そのため、複数のため池を設けていましたが、抜本的な解決には至っていませんでした。また、急峻な地形から大雨が降ると河川が一気に増水し、洪水被害も頻発していました。

会田川では1952年から河川改修が行われていましたが、1959年の台風7号や1961年の伊勢湾台風など、度重なる災害により、地域住民から抜本的な対策を求める声が強まりました。

ダム建設の経緯

長野県は会田川の治水・利水対策として、支流の水上沢川にダム建設を計画しました。1987年度から予備調査を開始し、1988年に着工、2000年に完成しました。水上ダムは、毎秒16立方メートルの高水流量に対し、毎秒13立方メートルの洪水調節能力を有しており、既存の用水路の安定化や河川環境の保全にも貢献しています。また、四賀地区の上水道用水として、1日あたり約6,300人に300立方メートルの水を供給しています。

総事業費は約125億円で、用地取得は4.7ヘクタールにとどまり、家屋移転は発生しませんでした。

そよぎ湖について

ダム湖（人造湖）の名称は、地元住民のアンケートにより「そよぎ湖」と名付けられました。「そよぎ」は、この地域に自生するソヨゴという植物に由来しており、サカキに似たこの木は神事にも用いられることがあります。

水上ダムの役割

水上ダムは、洪水調節、不特定利水、上水道供給という複数の目的を持つ多目的ダムとして、地域の安全と生活を支える重要な役割を果たしています。治水面においては、会田川の洪水被害を軽減し、地域住民の安心安全な生活を守っています。利水面においては、農業用水の安定供給に加え、上水道用水を確保することで、地域住民の生活を支えています。

その他の情報

ダムカードも配布されています。
松本市のウェブサイトでは、水上ダムからどのように水が供給されているかについて情報が公開されています。

水上ダム