水指

水指（みずさし）は、茶道で使用される茶道具の一つで、点前の際に必要な水を蓄えておくための器です。「水差」や「水器」とも表記されます。

概要

水指は、茶道において、茶釜に水を足したり、茶碗や茶筅を清めるための水を貯めておく役割を担います。その材質は多岐にわたり、陶磁器製のものが一般的ですが、木工品である曲物や塗物、また金属製のものも存在します。陶磁器製の水指には、本体と同じ素材で作られた「共蓋」と、漆塗りの「塗蓋」があります。

水指は、皆具として扱われる際には、杓立、建水、蓋置などとセットで使用されることが多いです。独立した茶道具として用いる場合には、風炉の横に置いたり、点前畳の中央に配置したり、棚や長板に置いて使用されます。

形状は、円筒形が基本ですが、用途に応じて様々な形が存在します。材質も用途によって使い分けられますが、大きく金属、陶磁器、木竹に分類できます。近年では、陶磁器製のものが主流となっています。

また、特筆すべきものとして、オランダで製造されたデルフト窯製の「オランダ水指」があります。これは江戸時代に輸入されたもので、西洋の薬種入れなどを転用したと考えられています。オランダ水指の特徴は、表面に唐草模様が描かれていることで、その模様が煙草の葉を連想させることから、「煙草の葉水指」という別名も持っています。さらに、縄文土器を転用した水指も存在し、古美術品としての価値も有しています。

水指は、茶道において実用的な役割を果たすだけでなく、茶席の美しさを引き立てる重要な要素です。その多様な素材、形状、意匠は、茶人の美意識や趣向を反映し、茶道文化の奥深さを物語っています。

参考資料

野村瑞典『茶道具の基礎知識』ギャラリー三鳳、1982年。ISBN 4838100167。
雄山閣 編『図解 茶道具事典』雄山閣出版、1995年、4639013280頁。ISBN 4838100167。

関連項目

茶室
名物 ([[茶道具)]]

もう一度検索