水稲荷神社

水稲荷神社：歴史と霊水、そして富士塚

東京都新宿区西早稲田に鎮座する水稲荷神社は、古くから地域の人々に親しまれてきた神社です。その歴史は古く、平安時代まで遡ります。当初は「冨塚稲荷」として知られていましたが、元禄時代に霊水が湧き出したことをきっかけに現在の名称に改められました。この霊水は、眼病に効くとして広く信仰を集め、神社の名声を高めました。

霊水と神託、そして新たな名称

元禄15年(1702年)、神社境内の椋の木の根元から霊水が湧き出しました。この霊水は眼病に効果があると評判となり、多くの人々が訪れるようになりました。さらに、火災からの守護を願う神託が下ったことも、神社の信仰を集める要因となりました。これらの出来事を経て、神社は「水稲荷神社」と改名され、新たな歴史の幕開けを迎えました。

江戸時代の活躍と関東稲荷総領職

江戸時代には、神社は「江戸の水稲荷」として知られるようになりました。天明8年(1788年)には、京都御所の大火で功績を挙げたとして、「関東稲荷総領職」の称号を賜りました。これは、関東地方における稲荷信仰の中心地としての地位を確立したことを意味する重要な出来事でした。

早稲田大学との土地交換と現在の社地

昭和38年(1963年)、水稲荷神社は早稲田大学と土地交換を行い、現在の社地に移転しました。現在の社地は、かつて清水徳川家の下屋敷があった甘泉園の一部です。この移転は、神社の新たな発展の契機となりました。

境内にある富士塚：高田富士

水稲荷神社の境内には、江戸時代から続く富士塚「高田富士」があります。これは、早稲田大学構内にあった江戸最古の富士塚の一つで、同大学の拡張工事の際に神社に譲渡され移築されました。通常は登拝できませんが、毎年7月の海の日とその前日に開催される「高田富士まつり」の期間中のみ、一般の参拝客が登拝することができます。この富士塚は、神社の歴史と地域とのつながりを象徴する存在となっています。

交通アクセス

水稲荷神社へのアクセスは良好です。都電荒川線面影橋停留場・早稲田停留場から徒歩5分、東京メトロ副都心線西早稲田駅から徒歩11分、東京メトロ東西線早稲田駅から徒歩12分です。また、高田馬場駅から都営バスを利用することもできます。

水稲荷神社と地域

水稲荷神社は、新宿区西早稲田一丁目、二丁目の一部、三丁目の一部、そして戸塚町一丁目を氏子地域としています。地域住民の生活に密着した神社として、長年にわたって信仰を集めています。

まとめ

水稲荷神社は、霊水、神託、そして歴史ある富士塚など、多くの魅力を持つ神社です。その歴史は古く、地域の人々の生活と深く関わってきました。現在も、多くの人々が神社を訪れ、信仰を捧げています。眼病平癒、水商売繁盛、火災除けのご利益があるといわれ、地域に根付いた信仰の場として、今後もその役割を果たしていくでしょう。

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