水野忠任

水野忠任（みずの ただとう）は、江戸時代中期に生きた大名であり、三河国岡崎藩の第7代藩主、そして肥前国唐津藩の初代藩主として知られています。忠元系水野家8代当主にあたります。

生涯

旗本水野守満の次男として生を受けました。宝暦元年（1751年）、同族である岡崎藩主水野忠辰の娘を正室に迎え、その養子となります。この婚姻が、彼の運命を大きく変えることになります。

当時の岡崎藩は、藩財政が逼迫していました。忠辰は、その立て直しを図るべく政治改革を志しましたが、重臣たちの抵抗に遭い、改革は頓挫。失意のうちに遊蕩にふけるようになったといいます。宝暦2年（1752年）、忠辰は重臣たちによる主君押込を受け、隠居を余儀なくされます。そして、忠任が家督を相続することになりました。この一連の騒動は「水野騒動」として知られています。

宝暦12年（1762年）、忠任は肥前唐津藩に転封されます。新たな領地での藩政運営は、財政難という課題に直面しました。忠任は、その解決策として増税政策を打ち出しますが、これが領民たちの反発を招きます。唐津藩には、旧来からの慣行があり、忠任の政策はそれを無視するものと捉えられたのです。

明和8年（1771年）には、ついに虹の松原一揆が発生します。領民たちは、増税政策の撤回を要求し、忠任はこれを受け入れざるを得ませんでした。財政再建を目指した政策が、思わぬ形で挫折したのです。

安永4年（1775年）、忠任は家督を養子の忠鼎に譲り隠居。文化8年（1811年）にその生涯を閉じました。

系譜

実父: 水野守満
養父: 水野忠辰
正室: 水野忠辰の娘
養子: 水野忠鼎（浅野宗恒の次男）
* 養女: 水野忠鼎正室（水野忠辰の娘）

水野忠任は、藩主として財政再建に尽力しましたが、その政策は領民との軋轢を生み、一揆を引き起こす結果となりました。彼の生涯は、藩政運営の難しさを物語るとともに、江戸時代の社会情勢を反映するものでもあります。

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