浅野宗恒

浅野宗恒：広島藩を立て直した改革者

浅野宗恒は、江戸時代中期、安芸国広島藩の第6代藩主として、その名を歴史に刻みました。21代浅野家当主であり、徳川吉宗より偏諱を受け「宗恒」と名乗ります。水野忠邦の曽祖父としても知られています。

生涯

享保2年（1717年）に5代藩主・浅野吉長の長男として江戸で生を受けました。幼少の頃より将来を嘱望され、享保11年（1726年）には将軍・徳川吉宗に拝謁。元服後、従四位下・刑部大輔に任官し、寛延2年（1750年）には侍従に任じられるなど、順調にキャリアを重ねました。

宝暦2年（1752年）、父の死を受けて家督を継ぎ、広島藩主となります。藩主就任後、通称を安芸守に改め、宝暦3年（1753年）にはお国入りの許可を得て、領国経営に本格的に乗り出しました。

藩政改革

宗恒が藩主となった頃、広島藩の財政はすでに危機的な状況にありました。先代からの負債に加え、幕命による延暦寺堂塔修復という巨額の出費、さらには領内での凶作や大火が相次ぎ、藩財政は逼迫の一途を辿ります。

この状況を打開するため、宗恒は大胆な藩政改革を断行します。宝暦3年（1753年）には家臣団の知行を半減するという思い切った措置を講じ、翌年には永代家禄制度の廃止、能力主義に基づく家禄の改正など、世襲制度にメスを入れました。これらの政策は、家臣団からの反発も予想されましたが、宗恒は自ら率先して倹約に努め、役人の不正摘発、裁判制度の公正化など、多岐にわたる改革を推し進めました。その結果、広島藩の財政は徐々に回復し、改革はほぼ成功を収めたと言われています。

宝暦13年（1763年）には、長男の重晟に家督を譲り隠居。隠居後は但馬守と称しました。天明7年（1787年）、71歳でその生涯を閉じ、広島の地に眠っています。

系譜

父：浅野吉長（1681-1752）
母：節姫（1680-1730） - 前田綱紀の次女
正室：喜代（1732-1750） - 前田吉徳の娘
側室：和泉
長男：浅野重晟（1743-1814）
次男：水野忠鼎（1744-1818） - 水野忠任の養子、水野忠邦の祖父
三男：浅野長員（1745-1808） - 浅野長喬の養子
四男：浅野長包
* 女子：松平定功正室 - のち松平資承正室

浅野宗恒は、苦境に立たされた広島藩を救った名君として、その名は後世に語り継がれています。

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