水野忠実 (紀伊新宮藩主)

水野忠実の生涯

水野忠実（みずの ただざね）は、紀伊新宮藩の第7代藩主として知られる政治家です。彼の名は忠奇（ただより）とも言われ、初名としては忠寛（ただひろ）という名前も持っています。彼は1749年11月23日に、旗本水野守鑑の次男として生を受けました。当初の幼名は福次郎です。

彼の家系について簡単に説明すると、父の水野守鑑は、旗本水野忠伸の三男にあたります。さらに、守鑑は旗本水野守満の養子となっています。このように、長い家系の中で成長した水野忠実は、同族である紀伊新宮藩主・水野忠興の養子として育ちました。

忠実が藩主となったのは、1763年6月28日に養父が死去したため、その後の同年8月6日に跡を継ぎました。そして、同年9月1日には第10代将軍・徳川家治に初めて御目見えを果たし、12月9日には従五位下・土佐守に叙任されるという名誉も得ます。

忠実の生涯の一端には、家庭内のトラブルも存在していました。松平定信への水野為長の秘密報告「よしの冊子」によると、彼は妻に対する暴力的な行動が問題視されており、あまりにひどかったために妻が家を出て行ったという記録があります。このような事実は、彼の公私における苦悩の一面を垣間見せます。

また、行列の際には、自らの威厳を誇示するために大きく振る舞い、周囲とのトラブルを引き起こしていたことも文書に残されています。そうした背景があったため、忠実の藩政においてもさまざまな影響を及ぼしていたと考えられます。

水野忠実は1822年4月25日に亡くなり、享年73（満72歳没）でした。彼の嫡男である範明は文化2年（1805年）に若くして亡くなってしまったため、家督は範明の長男である忠啓が受け継ぐこととなりました。このように、彼の死後も水野家は続いていきましたが、忠実自身の存在は藩主としての影響力や、家庭内での問題を通じて、後の世に語り継がれることとなりました。

水野忠実の人生には、藩主としての重責のほか、家族との葛藤も含まれています。彼がどのように藩を治め、また個人としてどのような問題に直面していたのかを知ることは、歴史的文脈を理解するための重要な手がかりとなるでしょう。

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