水野直

水野直（みずの なおし）

水野直は、1879年（明治12年）1月5日に生まれ、1929年（昭和4年）4月30日に没した、日本の華族（子爵）であり政治家です。旧紀伊新宮藩主・水野忠幹の五男として生まれ、後に旧結城藩当主家の水野忠愛の養子となりました。貴族院議員として研究会に所属し、加藤高明内閣では陸軍政務次官を務めました。また、教育調査会会員、臨時教育会議委員、学習院御用掛、鉄道会議臨時議員など、多岐にわたる公職を歴任しました。水野宗家の第18代当主でもあります。

生涯

東京府で生まれた水野は、1884年（明治17年）に水野宗家を相続し、1903年（明治36年）に東京帝国大学法科大学を卒業しました。翌1904年（明治37年）には貴族院議員に初当選し、研究会に所属して政治家としてのキャリアをスタートさせます。

大正時代に入ると、水野は青木信光と共に研究会の指導的立場となり、立憲政友会の原敬内閣に接近しました。1920年（大正9年）に一時貴族院議員を辞職しますが、1922年（大正11年）に再選を果たします。その後、親和会への参加、研究会への合流などを経て、次第に政界内での影響力を強めていきました。

清浦奎吾内閣の成立に尽力し、組閣参謀として活躍する一方で、第2次護憲運動の際には清浦内閣を見限り、護憲三派に接近するという政治的な手腕を発揮しました。加藤高明内閣では陸軍政務次官に就任し、貴族院と政府・政党とのパイプ役として活躍しました。

1929年（昭和4年）4月30日、50歳という若さで急逝。その功績から、同日付で勲一等瑞宝章を受章しました。家督は長男の水野勝邦が継承しました。

貴族院の策士

水野直は、「貴族院の策士」として知られていました。その理由は、貴族院と政府・政党との間を取り持ち、巧みな政治手腕を発揮したことにあります。彼は、時代の流れを読み、柔軟な対応をすることで、常に政界の中心に身を置きました。その政治的な手腕は、時には批判も浴びましたが、貴族院における存在感を確固たるものにしました。

評伝研究

水野直に関する研究は、近年になって活発化しています。

『水野直子を語る 水野直追憶座談会録』尚友倶楽部調査室編（芙蓉書房出版「尚友ブックレット」、2006年）
『貴族院研究会の領袖 水野直日記』尚友倶楽部調査室・西尾林太郎・松田好文編（芙蓉書房出版「尚友ブックレット」、2017年）
西尾林太郎『貴族院議員 水野直とその時代』芙蓉書房出版、2021年

これらの研究を通して、水野直の生涯や政治活動について、より深く理解することができます。

参考文献

筒井住蓮編『大日本華族大鑑』 都通信社、1911年、249-250頁。
水野八十郎編『水野家系譜』 水野八十郎、1913年。
維新史料編纂会編『現代華族譜要』 日本史籍協会、1929年、641頁。
『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。

外部リンク

国立国会図書館 憲政資料室 水野直関係文書

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