氷見町大火

氷見町大火

氷見町大火（ひみまちたいか）は、1938年（昭和13年）9月6日未明に富山県氷見郡氷見町（現在の氷見市）で発生した大規模な火災です。当時の氷見の街に甚大な被害をもたらしました。

発生と被害の拡大

火の手が上がったのは、1938年9月6日の午前0時20分頃、氷見町下伊勢町の一商店からでした。原因はタバコの不始末とされています。折しも、当時この地域は台風の影響でフェーン現象が発生しており、乾燥した強風が吹き荒れていました。この悪条件下で、火は瞬く間に周辺地域に燃え広がり、高砂町、地蔵町、川原町、南下町、湊町、浜町、新町、中町、南中町、本川町、入船町、朝日町、茣蟙町、仕切町、田町、加納町といった市街地広範囲に拡大しました。鎮火したのは午前8時頃でしたが、すでに被害は壊滅的な規模に達していました。

この大火により、市街地中心部の家屋1,543戸が焼失しました。これは当時の氷見町にあった全家屋の過半数にあたる数です。焼失面積は11万1,000坪にも及びました。人的被害も大きく、5名が亡くなり、510名が負傷しました。損害額は1,000万円とも1,100万円とも言われ、当時の金額としては莫大なものでした。

火災発生時、その炎の光は富山県内各地はもちろん、石川県からも空が真っ赤に染まって見えるほどだったと伝えられています。また、この火災で、氷見町役場、氷見警察署、氷見郵便局、氷見図書館といった行政や公共の重要な施設が機能を失いました。さらに、氷見銀行、十二銀行、高岡銀行、中越銀行といった、後に北陸銀行となる各金融機関の支店も類焼し、金融機能にも大きな影響が出ました。

復興への道のり

大火に見舞われた氷見町では、被災直後の1938年（昭和13年）から復興のための都市計画が始まりました。主な取り組みとして、火災に強い街づくりを目指し、道路の拡幅や区画整理などが計画され、順次実行に移されました。しかし、当時としては画期的な大規模な計画であったため、住民の中には広い道路ができることに対して「道路で運動会でもするのか」といった戸惑いや反対の声も上がったといいます。

当初、復興事業は1940年（昭和15年）3月末日の完了を目指していました。しかし、その後の太平洋戦争の戦況悪化や、終戦後の混乱、そして資材の不足といった要因が重なり、工事は計画通りには進みませんでした。完成までには長い年月を要し、最終的に復興事業が完了したのは、当初の予定から12年以上も遅れた1952年度（昭和27年度）のことでした。復興途中の1943年（昭和18年）には、街の再建を祝う復興祭が開催されています。

氷見町大火は、氷見の街に壊滅的な被害をもたらしましたが、その後の粘り強い復興 efforts によって、現在の街の基盤が築かれました。この大火とそれに続く復興の歴史は、氷見市にとって忘れられない重要な出来事として記憶されています。

関連項目

火災の年表
魚津大火、糸魚川市大規模火災（いずれもフェーン現象が被害拡大の一因となった火災）

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