永井和子

永井和子（ながい かずこ）

日本のメゾソプラノ歌手、オペラ歌手、音楽教育者。東京藝術大学教授。

プロフィール

1955年6月30日、長野県岡谷市に生まれる。国立音楽大学附属高等学校を経て、1978年に国立音楽大学声楽科を卒業。1980年、同大学院音楽研究科声楽専攻（オペラコース）を修了。二期会研究生、文化庁オペラ研修所を経て、文部科学省在外派遣としてジュネーブで研鑽を積む。中山悌一、伊藤京子、小松道子に師事。

オペラ歌手としての活躍

1987年、サントリーホールオープニング記念公演で、ジュゼッペ・シノーポリ指揮の『蝶々夫人』のスズキ役に抜擢され、高い評価を得る。この成功を機に、ベルリン・ドイツ・オペラでヨーロッパデビューを果たす。その後、ローマ、ヴェネツィア、フィンランドなど、ヨーロッパ各地の歌劇場でオペラ歌手として活躍。

特に、『蝶々夫人』のスズキ役は当たり役とされ、新国立劇場をはじめとする国内外の舞台で数多く演じている。その他、『シンデレラ』のアンジェリーナ、『セビリアの理髪師』のロジーナ、『カルメン』のタイトルロール、『運命の力』のプレツィオシルラ、『神々の黄昏』のフロスヒルデなど、幅広い役柄を演じ、オペラ歌手としての確固たる地位を築いた。

また、團伊玖磨の『素戔嗚』、池辺晋一郎の『鹿鳴館』、沼尻竜典の『竹取物語』など、日本の現代オペラにも積極的に取り組み、新たな表現の可能性を追求している。

コンサート歌手としての活躍

オペラ歌手として活躍する傍ら、コンサート歌手としても国内外の主要オーケストラと共演を重ねている。特に、マーラーの交響曲のソリストとしての評価は高く、ジュゼッペ・シノーポリとは数多くの共演歴を持つ。その他、モーツァルトの『レクイエム』、ベートーヴェンの『第九』など、幅広いレパートリーを持ち、その安定した歌唱力は、多くの聴衆を魅了している。NHKニューイヤーオペラコンサートなどの放送出演も多い。

歌曲分野にも力を入れており、團伊玖磨の最後の歌曲『マレー乙女の歌へる』を初演。また、日本歌曲を収録したCD『赤とんぼ』をリリースするなど、日本の歌の普及にも努めている。

教育者としての活動

後進の指導にも熱心に取り組んでおり、国立音楽大学、東京藝術大学で教鞭を執る。また、新国立劇場オペラ研修所長も務め、次世代のオペラ歌手育成に尽力している。

受賞歴

1983年：第1回川崎静子賞
1984年：第19回民音コンクール声楽第1位
1987年：第1回グローバル東敦子賞
1987年度：第15回ジロー・オペラ賞
1992年：第2回村松賞
2011年度：音楽之友社レコード・アカデミー賞

主な楽界活動

二期会会員（幹事）
元新国立劇場オペラ研修所長
日本演奏連盟会員

ディスコグラフィー

CD 團伊玖磨：歌曲集『マレー乙女の歌へる』
CD N響90周年記念シリーズ - 日本人指揮者篇2:若杉弘II/ヘンデル（モーツァルト編）『メサイア』ライブ
CD ベートーヴェン『第九』スヴェトラーノフ
CD ベートーヴェン『第九』高関健
CD NHK名曲アルバム 5.特選名曲集 - 故郷の廃家 -
DVD ベートーヴェン『第九』ジュゼッペ・シノーポリ
DVD NHK名曲アルバム 日本編
* DVD NHK名曲アルバム 東欧編

放送出演

NHKニューイヤーオペラコンサートをはじめとする数多くの番組に出演。

まとめ

永井和子は、その卓越した歌唱力と幅広いレパートリーで、オペラ、コンサートの両分野において国際的に活躍する、日本を代表するメゾソプラノ歌手である。また、後進の指導にも力を注ぎ、日本の音楽界の発展に大きく貢献している。

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