永井直陳

永井直陳：武蔵岩槻藩から美濃加納藩へ

永井直陳は、1698年（元禄11年）、武蔵岩槻藩初代藩主・永井直敬の三男として誕生しました。幼少期から優れた才能を発揮し、将来を嘱望されていたと伝えられています。

父・永井直敬の死後、家督は兄の永井尚平が継承しましたが、直陳も1500石を分与されました。しかし、兄の早世により、直陳は正徳4年（1714年）に養子として家督を継ぎ、岩槻藩主となりました。この際、1500石は藩領に収公されています。

藩主就任後、直陳は着実に藩政改革を進め、藩の財政安定に貢献しました。その手腕は幕府にも高く評価され、従五位下伊豆守に叙任。その後、伊賀守に転任するなど、着実に地位を高めていきました。1739年には奏者番にも任じられ、幕政にも関与するようになりました。また、大阪加番を8度も務めるなど、幕府との関係を良好に維持することに尽力しました。

岩槻藩主としての実績を残した永井直陳でしたが、宝暦6年（1756年）、美濃加納藩に移封されました。これは幕府の政策によるもので、新たな地での活躍が期待されたものと考えられます。

加納藩主となってからも、直陳は藩政改革に尽力し、藩の繁栄に貢献しました。しかしながら、長男・永井尚俶と次男・永井尚志が夭逝したため、後継者問題に直面することとなりました。

後継者として、甥にあたる永井尚備を養子に迎えました。宝暦12年（1762年）、直陳は尚備に家督を譲り隠居。同年11月26日、65歳でその生涯を閉じました。

永井直陳は、武蔵岩槻藩から美濃加納藩へと転封された経歴を持つ、重要な藩主の一人です。彼の治世は、岩槻藩、加納藩双方に大きな影響を与え、その功績は今もなお語り継がれています。

系譜

実父: 永井直敬
実母: 永井尚右の娘
養父: 永井尚平（実兄）
正室: 芳（丹波国篠山藩主松平信庸の娘）、継室（下野国壬生藩主加藤嘉矩の娘）
子女: 永井尚俶（長男）、永井尚志（次男）、その他女子数名（うち一人は越前国勝山藩主小笠原信胤正室、のち出雲国広瀬藩松平近輝正室、さらに旗本大久保忠烈正室。もう一人は豊後国杵築藩主松平親盈正室）
養子: 永井尚備（永井尚方の三男）

永井直陳の生涯は、激動の時代を生き抜いた藩主の生き様を伝える貴重な歴史資料となっています。彼の功績は、現代においても高く評価されており、後世に語り継がれるべきものです。

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