永原駅

永原駅：湖西線の静かなる終着点

滋賀県長浜市西浅井町に位置するJR西日本湖西線の永原駅は、その存在感と歴史から、多くの興味深い側面を見せてくれます。駅番号JR-B11、島式ホーム2面4線を有する高架駅であり、アーバンネットワークエリアの最北端という立地も特徴です。

駅の構造と役割

永原駅は、待避設備を備えた高架駅として設計されています。西隣のマキノ駅までは7.1kmと、湖西線の中でも最長の駅間距離を誇ります。この距離感も、駅の静けさを際立たせる要因と言えるでしょう。

注目すべきは、近畿車輛や川崎車両で製造された車両の出場試運転、あるいは吹田総合車両所からの試運転列車が、しばしばここで折り返しを行う点です。321系、323系、273系といった様々な車両が、永原駅をターミナルとして使用してきた歴史があります。かつては201系も定期列車として運行されていた時期もありました。

これらの試運転を永原駅が担う背景には、車両の性能試験や安全確認を効率的に行うための戦略的な選定が考えられます。駅周辺の地理的条件や線路状況も、試験走行に適していると言えるでしょう。

歴史と周辺環境

駅名の由来は、建設当時の仮称「永原」がそのまま採用されたことにあります。地元住民からは「奥琵琶湖駅」の名称が提案されましたが、これは旧村の意識を継承し、観光地としての発展を目指す意図がありました。

1974年の湖西線開通と同時に開業した永原駅は、当初は駅員無配置駅でしたが、2000年には駅舎が新築され、簡易委託駅となりました。2006年には敦賀駅までの直流化工事が完了し、ダイヤ改正により近江塩津駅や敦賀駅方面への直通列車が増発されました。ICOCAの利用も可能になり、利便性が向上しました。

駅周辺は、水田が広がる田園地帯です。駅周辺は森や山々に囲まれた自然豊かな環境で、駅の前後にはトンネルが設けられています。市役所支所や小学校などの公共施設は駅の東側に集中しています。

利用状況とアクセス

永原駅の利用状況は、滋賀県内のJR駅の中でも最も少ない水準です。2019年度の1日平均乗降人員は204人と記録されています。これは、駅周辺の地域特性や人口密度を反映していると言えるでしょう。

駅舎前には「永原駅」停留所があり、西浅井コミュニティバス（おでかけワゴン）が運行されています。このバス路線は、周辺地域の住民の生活を支える重要な交通手段となっています。

まとめ

永原駅は、湖西線の静かなる終着点として、その役割を粛々と果たしています。試運転拠点としての機能、そして周辺地域の住民の生活を支える存在として、永原駅は独自の価値を保ち続けています。その歴史と周辺環境、そして今後の発展に注目したい魅力的な駅です。

参考文献

川島令三『【図説】日本の鉄道 中部ライン 全線・全駅・全配線 第5巻 米原駅 - 加賀温泉駅』講談社、2010年8月20日。ISBN 978-4-06-270065-8。
『都市鉄道完全ガイド 関西JR編 2021-2022年版』双葉社、2021年6月22日。ISBN 978-4-575-45881-7。

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