吹田総合車両所

吹田総合車両所：JR西日本の車両整備拠点

吹田総合車両所は、西日本旅客鉄道（JR西日本）の車両基地であり、同時に車両工場としての機能も併せ持つ大規模施設です。近畿統括本部の管轄下にあり、大阪府吹田市に本所を構え、大阪府、京都府、奈良県に支所、さらに近畿各地に派出所を配置することで広範囲にわたる車両の保守・整備を担っています。

組織と役割

1. 本所（大阪府吹田市）

JR西日本吹田工場を継承した本所は、東海道本線（JR京都線）の岸辺駅と吹田駅間に位置し、JR貨物の吹田機関区に隣接しています。全般検査をはじめ、車両の改造や更新工事といった大規模な修繕業務の中心的な役割を担っています。近年、設備のリニューアル工事が完了し、老朽化対策と耐震性能の強化が図られました。検査対象は自所配置車両だけでなく、金沢車両区敦賀支所の125系電車や、松任工場閉鎖後は第三セクター鉄道（あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道、ハピラインふくい）所属の521系電車なども含まれます。

2. 支所

京都支所（京都府向日市）：旧京都総合運転所を継承。特急「サンダーバード」「しらさぎ」「はまかぜ」や、山陰本線（嵯峨野線）、湖西線、草津線で使用される車両のほか、保線・事業用車両も配置されています。構内にはレールの溶接設備があり、京都貨物駅からのレール配給が行われています。
森ノ宮支所（大阪府大阪市城東区）：旧森ノ宮電車区の検修部門を継承。大阪環状線、桜島線（JRゆめ咲線）で使用される車両の整備を担当します。
日根野支所（大阪府泉佐野市）：旧日根野電車区の検修部門を継承。阪和線、関西空港線、紀勢本線（きのくに線）、和歌山線で使用される車両の整備を担当しています。敷地面積は広く、検修施設と留置線が明確に分かれています。
奈良支所（奈良県奈良市）：旧奈良電車区の検修部門を継承。関西本線（大和路線）、おおさか東線、奈良線、桜井線で使用される車両の整備を担当しています。
* 福知山支所：福知山電車区を参照（本項では詳細を割愛）。

3. 派出所

各支所に複数の派出所が設置されており、それぞれの路線や車両に対応した小規模な整備・検査を行っています。例として、亀山派出所、鳳派出所、新在家派出所、王寺派出所、豊岡派出所などが挙げられます。天理電留線も奈良支所の管轄下にあります。

配置車両

吹田総合車両所には、近畿エリアのアーバンネットワークで運用されている電車を中心に、気動車、機関車、貨車が配置されています。具体的な車種と両数は、変動するため、最新の情報を公式発表等で確認する必要があります。本所、各支所、派出所で配置車両は分散されており、例えば京都支所には特急車両や事業用車両が多く配置されています。

歴史

本所の歴史は古く、1896年（明治29年）に大阪鉄道湊町工場として発足したことに始まります。その後、関西鉄道、鉄道院、神戸鉄道局を経て、1921年（大正10年）に吹田町へ移転し、神戸鉄道局吹田工場となりました。その後、数々の組織改編を経て、2012年（平成24年）6月に、森ノ宮電車区、奈良電車区、日根野電車区の検修部門、京都総合運転所、吹田工場が統合され、現在の吹田総合車両所が発足しました。

各支所もそれぞれの歴史を持ち、旧来の電車区や運転所を継承しています。それぞれの歴史は、各電車区・運転所の項目を参照ください。

まとめ

吹田総合車両所は、JR西日本の近畿エリアにおける車両整備の中核を担う重要な施設です。本所と複数の支所・派出所による広域なネットワークと、多様な車両に対応できる整備能力を備え、安全で安定した鉄道運行に貢献しています。今後の発展にも期待されます。

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