永安百治

永安百治（ながやす ももじ / はくじ、1895年4月13日 - 1943年1月10日）は、日本の内務官僚であり、官選の県知事を務めた人物です。兵庫県に生まれ、小学校卒業後、専門学校入学者検定に合格し、1917年に兵庫県属となりました。その後、1920年には高等試験行政科試験に合格し、国勢院での勤務を経て内務省へと転じます。

内務省では地方局や、茨城県、静岡県、京都府などで勤務した後、衛生局にも携わりました。1933年には視察のため欧米へ出張し、帰国後は内務省地方局財務課長、宮城県書記官・総務部長、東京府経済部長、内務省労働課長など、要職を歴任しました。

1940年4月には香川県知事に就任し、1942年1月には長野県知事に転任しました。長野県知事としては、食料増産政策を積極的に推進し、戦時下の食糧確保に貢献しました。しかし、その職務中に1943年1月、惜しまれつつこの世を去りました。

永安は、地方行政に深く関わり、その手腕を発揮した官僚でした。彼の行政手腕は、地方財政や労働問題など、多岐にわたる分野で発揮されました。また、県知事としては、その地域の実情に合わせた政策を推進し、特に長野県においては、食料増産という重要な課題に尽力しました。

著書としては『地方財政調整論』があり、彼の地方財政に関する深い知識と見識がうかがえます。また、彼の生涯を偲ぶ『永安百治追想録』も刊行されています。

永安百治の生涯は、地方行政に情熱を注ぎ、その発展に貢献した一人の官僚の姿を伝えています。彼の業績は、今日の地方自治を考える上でも重要な示唆を与えてくれるでしょう。

参考文献
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
赤羽篤外編『長野県歴史人物大事典』郷土出版社、1989年。
国勢院総裁官房「単行書・国勢院引継書類（六ノ一）・判任官以下人事ニ関スル綴・大正十年度」アジア歴史資料センター レファレンスコード：A07090200000

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