江宮隆之

江宮隆之は、1948年生まれの日本の歴史小説家、時代小説家、そしてノンフィクション作家です。本名である中村高志名義での著作も存在します。山梨県南巨摩郡増穂町（現在の南巨摩郡富士川町）出身で、中央大学法学部を卒業後、山梨日日新聞社に入社しました。同社では、編成局長や論説委員長といった要職を歴任し、2006年に退社、フリーの作家として独立しました。

江宮隆之の作品の特徴として、戦国時代に関する深い造詣が挙げられます。特に、甲斐武田氏に関する作品や歴史書は、彼の代表作とも言えるでしょう。しかし、彼の創作活動は戦国時代に留まらず、歴史上の人物の伝記的な歴史小説を数多く手掛けています。

1989年、奥州藤原氏の祖である藤原経清の武勇と苦悩を描いた『経清記』で第13回歴史文学賞を受賞し、作家としてのキャリアをスタートさせました。その後、1995年には、朝鮮半島で陶磁器の研究に生涯を捧げた陶芸評論家、浅川巧の生涯を描いた『白磁の人』で第8回中村星湖文学賞を受賞するなど、その実力は高く評価されています。

江宮隆之は、歴史上の人物だけでなく、近現代の人物を題材にした小説やノンフィクション作品も多数執筆しています。例えば、『白磁の人』は、近現代の人物を題材とした作品の代表例です。また、自身の出身地である山梨県に関連した作品も多く、甲陽鎮撫隊時代の土方歳三や近藤勇を描いた異色の新選組作品『歳三奔る』などが挙げられます。

近年では、「大江戸瓦版始末」シリーズのような文庫書き下ろし時代小説も手がけるなど、その創作活動は多岐にわたっています。また、郷土史関連の著書は、本名である中村高志名義で発表されることもあります。

主な著書には、『凍てる指』、『山梨「人物」博物館 甲州を生きた273人』、『経清記』、『白磁の人』、『カネゴンの日だまり』、『小西行長 後悔しない生き方』、『一葉の雲』、『政治的良心に従います 石橋湛山の生涯』、『「晩学」のススメ 人生、快楽は後半にあり』、『骨壺の底にゆられて 歌人山崎方代の生涯』、『明石元二郎 日露戦争を勝利に導いた天才情報参謀』、『歳三奔る 新選組最後の戦い』、『井上井月伝説』、『真田幸村』、『武田勝頼 花の歳月』、『真田昌幸』、『女たちの新選組 花期花会』、『風のささやき しづ子絶唱』、『島津義弘』、『母人形』、『直江兼続』、『夢之介夢想剣 厄介屋天下御免』、『夢之介夢想剣 厄介屋助太刀三昧』、『沙也可 義に生きた降倭の将』、『石田三成』、『冬萌の朝 新・白磁の人』、『十兵衛非情剣 密謀』、『真田幸隆』、『山本勘助とは何者か 信玄に重用された理由』、『貴三郎あやつり草紙 斬奸』、『二人の勘助 風林火山外伝』、『母ちゃん（オンマ）』、『伊達政宗』、『小早川隆景』、『二人の銀河鉄道 嘉内と賢治』、『大江戸瓦版始末 影法師』、『大江戸瓦版始末 写楽の首』、『黒田官兵衛』、『北条綱成 関東北条氏最強の猛将』、『昭和まで生きた最後の大名 浅野長勲 安芸広島四十二万六千石十四代藩主』、『井伊直政と家康』、『柳沢吉保 でっちあげられた悪徳大名』、『片倉小十郎景綱 独眼竜の名参謀』、『龍馬の影 悲劇の志士・赤松小三郎』、『浅井長政 信長を追いつめた義弟』、『江戸三〇〇年大名たちの興亡 戦国武将から最後の殿様まで』、『太原雪斎と今川義元 東海に覇を唱えた軍師と名将』、『團十郎と海老蔵 歌舞伎界随一の大名跡はこうして継承されてきた』、『天下の雨敬、明治を拓く 鉄道王雨宮敬次郎の生涯』、『将軍慶喜を叱った男堀直虎』、『慈雨の人 韓国の土になったもう一人の日本人』、『朝鮮を愛し、朝鮮に愛された日本人』、『明治維新を創った男 山縣大貳伝』、『立花宗茂「義」という生き方』、『明智光秀「誠」という生き方』、『昭和まで生きた「最後のお殿様」 浅野長勲』、『満州ラプソディ 小澤征爾の父・開作の生涯』などがあります。

江宮隆之の作品は、歴史上の人物の生き様を、史実に基づきながらも人間味あふれる筆致で描いている点が魅力です。彼の作品を通じて、読者は歴史の深みに触れ、人間の普遍的な感情や生き方について深く考えることができるでしょう。

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