江島生島事件

江島生島事件とは

江戸時代中期に発生した江島生島事件は、江戸城大奥の御年寄である江島と歌舞伎役者の生島新五郎の遊興が発覚したことで、多数の関係者が処罰された一大事件です。この事件は、大奥の規律の緩みを露呈させ、幕府の綱紀粛正を促すきっかけとなりました。

事件の経緯

正徳4年（1714年）、7代将軍徳川家継の生母である月光院に仕える御年寄・江島は、前将軍家宣の墓参りの帰りに、懇意にしていた呉服商の誘いで芝居小屋・山村座へ立ち寄り、生島の芝居を観劇しました。その後、江島は生島らを茶屋に招き宴会を開きましたが、宴会に夢中になり、大奥の門限に遅れてしまいます。このことが大奥内で問題となり、評定所が審理することになりました。しかし、審理の理由は単なる門限遅れではなく、大奥の規律の緩みそのものに焦点が当てられました。

事件後

評定所や町奉行らによる徹底的な調査の結果、大奥の規律の緩みが次々と明らかになりました。江島は生島との密会を疑われ、遠島処分となりましたが、月光院の嘆願により、高遠藩にお預けとなりました。また、江島の親族や遊興相手とみなされた人々も連座し、旗本であった江島の異母兄は斬首、弟は重追放となりました。生島は三宅島へ遠島となり、山村座は廃座となりました。この事件の影響は大きく、江戸中の芝居小屋が簡素な造りに改築を命じられ、夕刻の営業も禁止されました。最終的に、50人近くが処罰されたとされています。江島は27年間の幽閉生活の後に61歳で死去、生島は後に赦免され江戸に戻りましたが、翌年に73歳で亡くなりました。

事件の背景にある諸説

この事件は、当時の大奥における勢力争いが背景にあるという説があります。6代将軍家宣の正室である天英院派と、7代将軍家継の生母である月光院派の対立の中で、月光院の失墜を狙った天英院の陰謀であるという説です。しかし、この説を裏付ける史料はなく、憶測の域を出ていません。また、江島が生島を長持に入れて大奥に忍び込ませていたという話もありますが、これも俗説に過ぎません。

文学と芸能における江島生島事件

この事件は、多くの文学作品や芸能作品の題材となっています。大正元年には長谷川時雨の戯曲『江島生島』が上演され、昭和28年には舟橋聖一の小説「絵島生島」が評判となりました。その後も、小説、長唄、映画、テレビドラマなど、さまざまな形でこの事件が取り上げられ、人々に広く知られています。

関連作品

絵島生島
大奥 (2003年版ドラマ)
大奥 (2006年の映画)
かぶく者 (漫画)
大奥 浮絵悲恋 （映画）

脚注

[参考文献]
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関連項目

役者買い
江戸三座
懐月堂安度
児玉南柯
* 市川團十郎 (2代目)

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