市川團十郎 (2代目)

二代目市川團十郎について

人物背景

二代目市川團十郎（いちかわ だんじゅうろう）は、1688年11月3日に生まれ、1758年10月25日に亡くなった江戸の歌舞伎役者です。彼は、当時の歌舞伎界において圧倒的な人気を誇り、現在の市川團十郎家の基礎を築いた重要な人物です。父は初代市川團十郎、母は榮光尼で、彼の誕生は成田山新勝寺における子宝の願かけの結果だとされています。父の影響を受けた彼は、俳諧や狂歌にも精通しており、俳号として三升、才牛斎、栢莚、雛助を用いていました。

来歴

二代目市川團十郎は、幼少期から歌舞伎の道に進み、元禄10年（1697年）に初代市川九蔵として中村座で初舞台を務めました。その後、父の不幸により17歳で二代目團十郎を襲名しますが、初めは周囲に認められず苦悩する日々が続きました。しかし、名優の生島新五郎の庇護を受けて徐々に力をつけていきました。

その後、歌舞伎界は穢多頭・弾左衛門の支配下に置かれていましたが、二代目はその支配からの独立を目指し、小林新助との対立を経て『勝扇子』を著すに至ります。正徳3年（1713年）には、山村座での公演『花館愛護桜』を通じて助六役で注目を集め、人気役者としての地位を確立しました。

さらなる成功を収め、享保6年（1721年）には年千両の給金を得て「千両役者」と称えられるまでになりました。享保20年（1735年）には、養子の市川升五郎に市川團十郎を譲り、自らは二代目市川海老蔵を襲名します。大坂でも公演を行い、名声を広めましたが、その後急逝した三代目を受け継ぎ、四代目の團十郎を育てていきました。彼の墓所は青山霊園にあります。

芸風と業績

二代目市川團十郎は、父から引き継いだ荒事の伝統を深化させ、独自の芸を確立しました。若いころに師事した生島新五郎の影響を受け、荒事と和事を融合させたスタイルが特徴的です。『助六』や『毛抜』など、多くの名作を初演し、広いジャンルにわたって技術を磨きました。また、隈取の技法や様式も完成させ、歌舞伎界に多大な影響を与えました。

彼の芸は、歌舞伎の伝統を尊重しつつも新しい表現を追求する姿勢が反映されており、その後の役者に多くのインスピレーションを与えました。二代目市川團十郎の業績は、その人気だけでなく、形を変えながら受け継がれていく歌舞伎の未来を切り拓いたと言えるでしょう。

参考文献

• - 郡司正勝校注『老いのたのしみ』, 岩波書店
• - 池須賀散人『市川栢莚舎事録』, 吉川弘文館
• - 田口章子『二代目市川団十郎　役者の氏神』, ミネルヴァ書房
• - 服部幸雄『市川團十郎代々』, 講談社

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