江川みさお

江川みさお：少女雑誌を彩った挿絵画家

江川みさお（1921年 - 2014年）は、昭和時代に少女雑誌や少女小説の挿絵画家、イラストレーターとして活躍しました。彼女の作品は、当時の少女たちの心を捉え、後の少女漫画の表現に大きな影響を与えたことで知られています。

生涯と活動

1921年、東京府（現在の東京都）に生まれた江川みさおは、1940年代から活動を開始したとされています。彼女の義弟には、挿絵画家・漫画家である木村光久（のちの剪紙作家・木村祥刀）がいます。

1950年代から1960年代にかけて、江川は数多くの少女雑誌で挿絵を描きました。その活躍の場は、『少女世界』、『少女サロン』、『少女ライフ』、『少女クラブ』、『なかよし』、『少女』、『少女の友』、『女学生の友』、『少女ブック』、『りぼん』、『週刊マーガレット』、『別冊マーガレット』、『ひとみ』など多岐にわたります。また、『泉』、『泉別冊』、『こけし』、『ゆめ』といった雑誌では、表紙や扉絵も担当しました。

彼女は、円地文子、三井嫩子、吉屋信子、川端康成、富島健夫、城夏子、大庭さち子、小糸のぶらといった著名な作家たちの少女小説の書籍にも、表紙や挿絵を提供しています。

少女漫画への影響

江川みさおが活躍した時代は、少女雑誌が少女漫画雑誌へと変貌を遂げる過渡期でした。当時の少女たちは、小説の挿絵を楽しみ、そこから膨らむイメージを大切にしていました。江川をはじめとする挿絵画家たちは、時代の少女文化を支える重要な役割を果たしていたと言えるでしょう。

1960年代に少女漫画が増え始めてからも、江川の少女趣味的な色彩感覚は人気を博し、若手漫画家の作品の扉絵を飾ることもありました。

晩年と再評価

1970年代以降、江川みさおの活動は不明な点が多いですが、2008年には弥生美術館で開催された『乙女のイコン展』で、中原淳一、佐藤清子らとともに、戦後を代表する乙女イコンの画家の一人として紹介され、再び注目を集めました。同年には、日本の近世以降の挿絵画家を網羅した大型事典『図説絵本・挿絵大事典』にも収録されています。2009年には、彼女が挿絵を手がけた『少女クラブ』の付録『少女コゼット物語』が復刻されました。

江川みさおは2014年10月17日に93歳で逝去されましたが、彼女の作品は今もなお、多くの人々に愛され、少女文化史における重要な存在として記憶されています。

主な作品

『みやこわすれ』(1948年-1953年) - 挿絵
『高原の少女』(1951年) - 挿絵
『エミ物語』(1952年) - 挿絵
『母星子星』(1953年) - 絵
『雪割草』(1953年) - 絵
『少女期』(1953年) - 絵
『かえで鳥の歌』(1954年) - 挿絵
『親友』(1955年) - カバー絵・挿絵
『少女コゼット物語』(1956年) - 挿絵
『かなしみの門』(1956年) - 挿絵
『泉』(1958年-1965年) - 表紙画・扉・装幀
『こけし』(1959年-1964年) - 表紙画
* 『ゆめ』(1960年-1968年) - 表紙画

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