江戸六地蔵

江戸六地蔵とは

江戸六地蔵は、宝永から享保年間にかけて江戸の市中に建立された、6体の銅造地蔵菩薩坐像の総称です。これらの地蔵像は、江戸の出入口にあたる6箇所に設置され、人々の信仰を集めました。発願者は深川の地蔵坊正元で、病気平癒の祈願が成就したことをきっかけに、京都の六地蔵に倣い造立されました。

歴史的背景

江戸六地蔵は、宝永3年（1706年）に地蔵坊正元が発願し、江戸市中の人々から広く寄進を募って建立されました。地蔵坊正元自身が地蔵菩薩に病気平癒を祈願したところ、無事に治癒したことから、京都の六地蔵にならい、江戸の守護と人々の安寧を願って建立されました。鋳造は神田鍋町の鋳物師、太田駿河守藤原正儀が担当し、像高はいずれも約270cmに及ぶ巨像です。造立当初は鍍金が施されていましたが、現在ではわずかに金箔の痕跡が残るのみとなっています。また、第二番の東禅寺の像は弁柄色の漆が塗られていました。像内には小型の銅造地蔵菩薩坐像や寄進者名簿などが納められており、像や蓮台には寄進者の名前が刻まれています。その数は合計72,000名を超えるといわれています。

江戸六地蔵の変遷

各像は江戸の重要な出入口に設置され、人々の信仰の対象となりました。しかし、明治維新後の神仏分離令と廃仏毀釈の影響により、第六番の永代寺の地蔵像は、富岡八幡宮の二の鳥居付近にあった旧永代寺の取り壊しとともに失われました。現在残存しているのは、第一番から第五番の5体です。これらは東京都指定有形文化財に指定され、大切に保存されています。

第六番の代替として、上野の浄名院に地蔵像が祀られていますが、このことが江戸六地蔵を名乗ることについては、他の札所から異論も出ているようです。

各地蔵尊の特徴

各像は、それぞれ異なる場所に設置され、異なる特徴を持っています。以下に、現存する第一番から第五番の地蔵尊について簡単に説明します。

第一番：品川寺（東京都品川区南品川3-5-20）に安置されています。
第二番：東禅寺（東京都港区虎ノ門5-10-10）に安置されています。
第三番：太宗寺（東京都新宿区新宿2-9-2）に安置されています。
第四番：真性寺（東京都豊島区巣鴨3-21-20）に安置されています。
* 第五番：霊巌寺（東京都江東区白河1-3-32）に安置されています。

まとめ

江戸六地蔵は、江戸時代の人々の信仰と技術が結集した貴重な文化遺産です。現在でも、その姿は多くの人々に親しまれ、大切に保存されています。江戸を訪れる際には、ぜひこれらの地蔵尊を訪ねて、その歴史と文化に触れてみてください。

もう一度検索