江木康直

江木康直（えぎ やすなお）

幕末から明治初期にかけて活躍した長州藩士、内務官僚

江木康直は、生年不詳ながら、1874年（明治7年）12月12日にその生涯を閉じた人物です。幕末には長州藩士として活動し、明治維新後は内務官僚として、特に愛媛県の行政に深く関わりました。通称として清次郎、二郎とも呼ばれていました。

初期の経歴

江木は長州藩士の家に生まれました。その出自や詳細な生年については、記録が残っていないため不明です。しかし、幕末の動乱期を経て、明治維新後の新たな時代において、彼はその才能を発揮しました。

愛媛県での活躍

1872年（明治5年）1月20日、江木は宇和島県権参事に任じられ、同年3月1日に宇和島に着任しました。同年6月23日には宇和島県が神山県と改称された後も引き続き権参事を務め、7月25日には神山県参事に昇進しました。1873年2月20日、神山県と石鉄県が合併し愛媛県が誕生すると、江木は同県の参事に任じられました。当時の県内では最上位の役職者として県政の責任を担い、その手腕を発揮しました。

県政における貢献と課題

江木は愛媛県参事として、県政の様々な課題に取り組みました。高知県との境界問題では、1873年10月28日に篠山の山頂に石標を設置し、分水嶺を境界とすることを決定しました。また、神山県と石鉄県で異なっていた大区小区制を1874年5月に統一再編成し、区長・戸長を任命しました。しかし、区戸長の業務が増大し、県内の情勢が不安定化、さらに夏の干ばつが重なるなど、多くの困難に直面することとなります。

1874年8月以降、区戸長の辞職が相次ぎ、その対応に追われる中で、讃岐で起こった徴兵令反対の血税一揆が県内に波及するのを防ぐための対策にも尽力しました。これらの問題への対応策を巡り、大久保親彦権参事と対立するようになり、心身ともに疲弊し病に倒れました。

その死と後世への影響

病に倒れた江木は、1874年11月24日に岩村高俊が権令に任じられたものの、その着任を待たずして同年12月12日に死去しました。彼の死は、愛媛県政にとって大きな損失であり、その功績は後世に語り継がれています。江木康直は、激動の時代において、地方行政に尽力し、その生涯を終えた人物として、歴史に名を刻んでいます。

参考文献

秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
『愛媛県史 人物』愛媛県史編纂委員会、1989年。
高須賀康生『愛媛の政治家』〈愛媛文化双書43〉愛媛文化双書刊行会、1988年。
愛媛県立図書館所蔵
愛媛県行政資料『官吏履歴』明治5、6年分（請求記号M04-3-1）
愛媛県行政資料『愛媛県官員履歴 全』明治7～11年書写（請求記号M04-3-3）

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