江西等処行中書省

江西等処行中書省（こうせいとうしょ-こうちゅうしょしょう）

江西等処行中書省（以下、江西行省と略称）は、元朝が設置した一級行政区画である行中書省の一つです。

地理

1299年（大徳3年）以降、江西行省は長江以南の広大な地域を管轄しました。具体的には、現在の江西省の大部分、雷州半島を除く広東省全域、湖南省の一部、そして福建省の一部が含まれていました。ただし、現在の江西省北東部は江浙行省の管轄下にありました。

歴史

江西行省の成立は、元朝による南宋の滅亡と深く関わっています。1276年（至元13年）、元軍は南宋の都・臨安（現在の杭州市）を占領し、恭宗を捕虜としました。これにより南宋は滅亡し、その支配地域は元朝の版図に編入されました。

1277年（至元14年）、元朝は新たに江西等処行中書省を設置しました。しかし、翌年には福建行省に一旦編入されることになります。その後、1280年（至元17年）に福建行省が分割され、江西行省、福建行省、泉州行省が設けられました。しかし、1282年（至元19年）には冗官整理のため、江西・福建の両行省が再び統合されるという変遷を辿ります。1285年（至元22年）から1291年（至元28年）にかけては、福建行省が江西行省に移管されるなど、行政区画の再編が繰り返されました。

1299年（大徳3年）に福建行省が江浙行省に移管されて以降、江西行省の行政管轄地域は固定され、元末までその体制が維持されました。

下部行政区画

1276年（至元13年）から1298年（大徳2年）までの間は、行省の統廃合が頻繁に行われたため、下部行政区画も安定しませんでした。しかし、1299年（大徳3年）以降は行政区画が安定し、18路9州を管轄する体制が確立しました。

江西行省は、宋代の江南西道と広南東路の2路を統合して成立した経緯から、元代においても江西湖東道と海北広東道という区分が存在していました。

江西湖東道（11路、1州）

竜興路
吉安路
瑞州路
袁州路
臨江路
撫州路
江州路
南康路
贛州路
建昌路
南安路
南豊州

海北広東道（7路、8州）

広州路
韶州路
恵州路
南雄路
潮州路
徳慶路
肇慶路
英徳州
梅州
南[[恩州]]
封州
新州
桂陽州
連州
循州

関連項目

元朝の行政区分
行中書省

参考文献

『元史』（中華書局）
『中国歴史地図集』（中国地図出版社 1997年）
周振鶴『中国行政区画通史 元代巻』（復旦大学出版社 2009年）

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