江陵鳳凰山漢簡

江陵鳳凰山漢簡について

江陵鳳凰山漢簡は、中国の湖北省江陵県紀南鎮に位置する鳳凰山で発見された貴重な考古資料です。この漢簡は、鳳凰山漢墓群から出土したもので、古代中国の歴史における重要な情報源とされています。

発見の経過

1973年の秋、鳳凰山では長江流域第二期文物考古工作人員訓練班によって考古学的調査が行われていました。その過程で、前漢の木槨墓が発見され、その後1974年には詳細な考古調査が実施されました。この調査によって、秦代以降の墓が180基以上新たに見つかりました。この中で、特に注目されているのが8号墓、9号墓、10号墓、167号墓、168号墓、169号墓から出土した簡牘です。

各墓の出土簡牘の内容

8号墓

8号墓から出土したのは175枚の簡牘で、主に副葬品のリストである遣策が含まれています。このリストには、衣類、奴婢の模型、食器などの名称と数量が詳細に記載されています。特に注目すべきは、40件以上の奴婢模型について、身分や名字が明記されている点です。これは貴族社会の複雑さを示す重要な証拠といえるでしょう。

9号墓

次に9号墓からは80枚の簡牘が出土しました。こちらも遣策の内容ですが、細部はあまりはっきりしていません。また、3枚の木牘が見つかり、これらは安陸守丞が上級官府に提出した文書と考えられています。

10号墓

10号墓は文帝または景帝期に属するとされ、170枚の竹簡や6枚の木牘が出土しました。これらには遣策や服役に関する規定が含まれています。

167号墓

167号墓も文帝または景帝期のもので、74枚の木簡が出土しました。内容は遣策であり、出土した文物とほぼ一致しています。

168号墓

168号墓は文帝13年（紀元前167年）の埋葬とされ、墓主は市陽五大夫の遂であると考えられています。このことからも、当時の社会状況や身分制度が浮き彫りになっています。

まとめ

江陵鳳凰山漢簡の発見は、中国の古代史や当時の社会構造を理解する上で非常に重要です。これらの出土物は、古代の人々の生活や価値観を示す貴重な証拠であるため、今後の研究が期待されます。更なる発掘や研究が進むことで、鳳凰山から出土した古代資料の謎が解明されることを望んでやみません。

参考文献

• - 柿沼陽平「鳳凰山」（『地下からの贈り物 新出土資料が語るいにしえの中国』2014年，東方書店）
• - 横田恭三『中国古代簡牘のすべて』（2012年，二玄社）

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