江風型駆逐艦

江風型駆逐艦

江風型駆逐艦は、日本海軍の一等駆逐艦であり、同型艦は江風と谷風の2隻です。日本海軍の駆逐艦設計において、重要な転換点となった艦級と言えるでしょう。

計画と建造

谷風は[1916年]の八四艦隊完成案に基づき建造されました。江風は大正6年度([1917年]])の追加予算で、イタリアに譲渡された浦風型[[駆逐艦]の代艦として建造されています。江風の予算には、初代を解約したことによる返戻金が充てられました。竣工は江風が谷風よりも早く、類別等級表でも江風、谷風の順に記載されたため、本型は江風型と呼ばれています。

艦型の特徴

基本計画番号はF30。前型である磯風型の設計を大幅に改良した艦級です。特に機関面では、日本海軍の駆逐艦として初めてオールギアードタービンを採用しました。計画にあたっては、水槽試験で船体形状を比較検討し、重量軽減にも注力。浮いた重量を機関に割り当てています。

4基の缶(ボイラー)は全て重油燃焼式であり、オールギアードタービンとの組み合わせにより、37.5ノットという高速力を実現しました。タービン形式は天龍型軽巡洋艦と同じブラウン・カーチス式です。竣工当初はタービン翼の折損事故が頻発しましたが、技術者の努力により解決され、本型以降の駆逐艦の主機関は重油専焼缶とギアードタービンの組み合わせが主流となりました。

主砲は磯風型より1基少ない3基ですが、装備位置を高めることで荒天時の砲戦能力向上を図っています。雷装は前型と同様に、45cm連装3基6門を装備。探照燈は艦橋上に1基、後部マスト直後にも1基装備し、夜戦能力を強化しています。同時期に計画された天龍型軽巡洋艦と艦型が類似している点も特徴です。

全体として、雷撃力と速力を重視する一方で、砲力はやや犠牲になった設計と言えるでしょう。

同型艦

江風（かわかぜ/かはかぜ）
1917年（大正6年）2月15日起工、同年10月10日進水、1918年（大正7年）11月11日竣工。公試では計画値を上回る40,000馬力、39ノット強を記録。1934年（昭和9年）4月1日除籍。
谷風（たにかぜ）
1917年9月20日起工、1918年7月20日進水、1919年（大正8年）1月30日竣工。1935年（昭和10年）4月1日除籍。呉及びその周辺で防波堤として使用され、戦後解体。

駆逐隊の変遷

江風型は2隻で建造が打ち切られたため、江風型のみで駆逐隊が編成されました。当初は第三駆逐隊、後に第十四駆逐隊に改称されています。

第三駆逐隊は、1919年（大正8年）2月1日に横須賀鎮守府所属の江風・谷風で編成されました。同年11月1日に呉鎮守府に転籍し、第十四駆逐隊に改称。1920年（大正9年）12月25日には、樅型の菊・葵が編入され、2等級2種からなる混成駆逐隊となりました。性能差から艦隊への編入期間は短く、その後は要港部部隊に派遣され、沿岸警備に従事しました。1939年（昭和14年）12月10日に菊・葵・萩の哨戒艇改造に伴い解隊されています。

まとめ

江風型駆逐艦は、日本海軍の駆逐艦設計に大きな影響を与えた艦級です。2隻という少数で終わったものの、その先進的な設計思想は、後の艦艇開発に活かされました。

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