池上電気鉄道

池上電気鉄道について

池上電気鉄道（イケガミデンキテツドウ）は、1917年に設立された東京都大田区を拠点とする鉄道会社で、今日の東急電鉄池上線に相当する路線を運営していました。また、同社は沿線で乗合バス事業も手がけていました。これにより、後の東急バス中延営業所や池上営業所の基礎が築かれたのです。

概要

池上電気鉄道は、日蓮宗の池上本門寺への参拝客を運ぶために設立されました。この鉄道の軌間は1067mm、電力供給は直流600ボルトの架空電車線方式を採用していました。1922年には蒲田から池上までの路線が開業し、その後1928年には蒲田から五反田までが全線開通しました。しかし、様々な要因から同社は経営難に直面し、1934年には目黒蒲田電鉄に買収されてその姿を消しました。

歴史と開業までの道のり

池上電気鉄道の創設は1912年に遡ります。この年、目黒から池上を経由し、大森まで至る鉄道路線の免許申請が行われました。1914年にその免許が認可されたものの、出資者の信用不足により資金調達が思うように進まず、結局設立に至ったのは1917年のことでした。設立後も資金難は続きましたが、当時の衆議院議員であり後に貴族院の議員でもあった高柳淳之助が支援を表明しました。彼の支援によって資金調達が進み、まずは池上から蒲田までの路線が1922年10月に開業しました。

新製の電車が間に合わなかったため、高柳は静岡県の駿遠電気から中古の電車を導入し、開業に間に合わせることができました。開業当初は多くの参拝客が訪れ、順調なスタートを切りました。

高柳による私物化とその影響

しかし、開業後の経営において高柳は資材調達を自らの企業を通じて行い、投資家から集めた資金の多くを私腹を肥やすために流用しました。これにより資金不足が続き、延伸工事もままならず、1930年には乗合バス事業を開始せざるを得なくなりました。

経営再編と競合

1923年には東京川崎財閥の傘下となり、さらに同年には目黒蒲田電鉄が池上電気鉄道と競合する路線を開通させたため、戦略を見直し、路線計画の始点を変更せざるを得ませんでした。1927年にはバス事業も展開し、鉄道とバスの両軸で運行を行いましたが、経営圧迫は続きました。

1928年には全線が開通し、乗客数は増加したものの、経営の基盤が弱かったために厳しい状況は続きました。池上電気鉄道はその後も延伸計画を進めましたが、他の鉄道会社との関係悪化や市の反対に遭い、計画は頓挫することが多くありました。

終焉

最終的に、1934年には目黒蒲田電鉄に吸収合併されてその歴史を閉じました。池上電気鉄道の車両や路線は、目黒蒲田電鉄の一部としてその後も利用され続けましたが、この会社自体は消滅してしまいました。その歴史は多くの教訓を内包しており、鉄道事業の資金調達や経営の難しさを示すものとなっています。

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