池田園駅

池田園駅（いけだえんえき）

池田園駅は、かつて北海道亀田郡七飯町字軍川に位置していた、北海道旅客鉄道（JR北海道）函館本線（通称：砂原支線）に属する鉄道駅でした。廃止された駅であり、電報略号は「イタ」、駅番号は「N71」、事務管理コードは▲140151が割り当てられていました。本項では、JR函館本線の駅が開設されるより以前、同じ場所に存在し営業を終えた大沼電鉄の同名駅についても合わせて記述します。

歴史

JR函館本線の池田園駅は、1945年（昭和20年）6月1日、国有鉄道函館本線の砂原線として大沼駅と渡島砂原駅の間が開業した際に、一般駅として設置され営業を開始しました。戦後の1949年（昭和24年）6月1日には、日本国有鉄道法が施行されたことに伴い、日本国有鉄道（国鉄）の駅として運営が引き継がれました。

駅業務のうち、貨物の取り扱いは1962年（昭和37年）1月21日に終了しました。さらに1971年（昭和46年）10月26日には、荷物の取り扱いも廃止され、同時に駅員の配置がなくなって無人駅となりましたが、しばらくの間は簡易委託駅として営業を続けました。駅設備の面では、時期は定かではありませんが、列車交換に必要だった設備が撤去されています。1980年（昭和55年）3月には駅舎が建て替えられました。

国鉄の分割民営化が実施された1987年（昭和62年）4月1日からは、北海道旅客鉄道（JR北海道）に運営が移管されました。その後、正確な時期は不明ですが、簡易委託も終了し、完全に無人駅となりました。2007年（平成19年）10月1日には、JR北海道の駅ナンバリングが導入され、「N71」という番号が付与されました。

駅の廃止に向けた動きは2020年（令和2年）に表面化しました。同年7月2日、JR北海道から七飯町に対し、池田園駅を含む3駅について廃止するか、あるいは町が管理を引き受けるかの方針を示すよう文書で協議が求められました。七飯町は同年7月10日付で、当該駅の維持管理を続けるのは困難である旨を回答しました。翌2021年（令和3年）1月20日には、これらの駅の見直しに関して地域住民向けの説明会が開催されました。同年6月15日、七飯町は大沼地域の町内会長や観光団体に対し、廃止を受け入れる意向を伝えました。そして、同年9月13日には、JR北海道から七飯町に対し、池田園駅を含む3駅の廃止方針が正式に文書で通知されました。同年9月18日付の『北海道新聞』では、2022年春のダイヤ改正での池田園駅の廃止が検討されていることが報じられました。最終的に、利用客の減少やダイヤ改正にあわせ、池田園駅は2022年（令和4年）3月12日にその歴史に幕を閉じ、廃駅となりました。

駅名の由来

駅が所在する「池田園」という地名は、池田淳という人物の功績に由来しています。彼は1897年（明治30年）に北海道庁を退官した後、当地の開拓に力を尽くしました。また、この地域を大沼国定公園に含める形で公園として整備しようという構想も持っていました。その功績を称え、地名として名付けられたものです。

なお、後述する旧大沼電鉄の池田園駅は、かつて「鬼柳（おにやなぎ）」という駅名でした。この「鬼柳」は、軍川村時代の旧字名であり、そこには次のような伝説が伝えられているとされています。

駅構造

池田園駅は地上駅で、廃止された時点では島式ホームの片面のみを使用する1面1線を有していました。ホームは線路の北側、森駅に向かって左手に位置しており、列車交換の設備を持たないシンプルな棒線駅構造となっていました。

かつては島式ホーム1面2線を持つ、列車交換が可能な駅でした。1983年（昭和58年）4月時点での記録によれば、駅舎に近い側が上り線、駅舎と反対側が下り列車のほか、上り列車の待避にも使用される線として使われていました。このほか、下り線の大沼駅方面には安全側線も備えていました。列車交換の運用が終了した後、側線を含めて線路は1993年（平成5年）3月までに撤去されています。ポイントの形状は、旧上り線（廃止時点で使用されていた線路）からの進行方向に対し左に開く形状（方開き分岐）でした。

駅は無人駅で、大沼駅が管理しており、夜間の連絡先は森駅でした。駅舎は構内の南側に設置され、ホームへは跨線橋を使って渡る構造でした。かつて駅員が配置されていた頃の駅舎は改築されており、外壁にはサイディングボードが張られ、緩やかな勾配の屋根を持つ簡易的な駅舎となっていました。駅舎内にはトイレも設置されていました。

駅の近く、流山温泉駅方面には、北海道で最も短いとされている池田園トンネルがあります。また、この付近は砂原線の最高地点（サミット）に近く、標高は137.7メートルです。

利用状況

具体的な数値データはありませんが、利用客の減少が2022年の駅廃止の一因となったことが確認されています。

駅周辺

駅周辺には以下のような施設や場所があります。

北海道道43号大沼公園鹿部線
大沼湖畔周遊道路（北海道道338号大沼公園線）
この道路の一部区間は、かつての大沼電鉄の線路跡が再利用されています。
大沼
大沼公園ユースホステル
函館七飯スノーパーク
七飯町立大沼岳陽学校
軍川簡易郵便局
光現寺
大信寺
* 函館バス「軍川本村」停留所（道道43号線沿い）

大沼電鉄の池田園駅

JR函館本線の駅が開業するより以前、同地に大沼電鉄の駅も存在しました。

歴史（大沼電鉄）

大沼電鉄の池田園駅は、1929年（昭和4年）1月5日に大沼電鉄線が大沼駅（後の大沼公園駅）と新本別駅（後の宮の浜駅）の間で開業した際に、「鬼柳駅（おにやなぎえき）」として設置されました。その後、正確な時期は不明ですが、「池田園駅」と改称されました。大沼電鉄線の廃線に伴い、1945年（昭和20年）5月31日、JRの駅が開業する前日に廃止されました。

駅跡（大沼電鉄）

大沼電鉄の池田園駅は、現在のJR池田園駅よりもやや東側に位置していました。1999年（平成11年）の時点では駅施設そのものの痕跡は確認されませんでしたが、2010年（平成22年）の調査では、硫黄積み込み施設か、あるいは索道施設の一部と思われる擁壁が苔に覆われた状態で残っているのが確認されています。

隣の駅

北海道旅客鉄道（JR北海道）

■函館本線（砂原支線）

大沼駅 (H68) - 池田園駅 (N71) - 流山温泉駅 (N70)

かつて存在した路線

大沼電鉄

大沼電鉄線（戦前）

大八湾駅 - 池田園駅 - 銚子口駅

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