池田純一

池田純一：栄光と挫折、そして再生のプロ野球人生

池田純一（いけだ じゅんいち、1946年5月15日 - 2005年5月17日）は、熊本県荒尾市出身のプロ野球選手（外野手）です。1971年から1976年までは、池田祥浩（いけだ よしひろ）という登録名でプレーしていました。

プロ入り前

中学時代までは右打者でしたが、右肩の脱臼を機に左打者に転向。八代東高校では、投手兼右翼手として活躍。2年生の時には、エースとして九州大会で準々決勝に進出。3年生の時には、夏の甲子園に出場。開幕試合で延長18回引き分け再試合を経験しました。

阪神タイガース時代

読売ジャイアンツ、阪神タイガース、法政大学による争奪戦の末、1965年に外野手として阪神タイガースに入団。入団当初の背番号は52でしたが、1966年から32に変更。1967年には中堅手としてレギュラーに定着し、強肩好打の外野手として活躍しました。1971年には登録名を「池田祥浩」に変更し、背番号を7に変更。

1972年にはファン投票でオールスターに初出場し、地元甲子園での第3戦で決勝打を含む2安打を放ちMVPを獲得。同年、規定打席に初到達し、リーグ9位の打率.283を記録しました。また、外野守備でも自己最多の13補殺を達成。

1973年もオールスターに出場するなど活躍しましたが、8月5日の巨人戦での「世紀の落球」と呼ばれるプレーを境に、人生が暗転します。その後、1974年まで3年連続で規定打席に到達しましたが、1976年以降は出場機会が減少し、1978年に現役を引退しました。

現役引退後

引退後は、神戸市東灘区でジーンズショップ「ラッキーゾーン」を経営。2005年にくも膜下出血で倒れ、59歳でこの世を去りました。

選手としての特徴

阪神時代には、勝負強い打撃でチームに貢献。特に、5本のサヨナラ本塁打を放っています。1970年には、代打で満塁サヨナラ本塁打を記録。また、1975年には逆転満塁本塁打、1976年の開幕戦では3ラン本塁打を放つなど、印象的な一打も多く残しました。

プレーをめぐるエピソード

1968年の試合では、自身の盗塁企図がきっかけで、NPB公式戦史上2度目の珍事である「3ボール四球」が記録されました。

「世紀の落球」とその後

1973年8月5日の巨人戦での「世紀の落球」は、池田の野球人生を大きく変えました。9回2死1、3塁の場面で、黒江透修の打球を追って転倒。その間に走者が生還し、逆転負けを喫しました。このプレーは、池田にとって大きなトラウマとなり、その後の人生に大きな影響を与えました。

このプレー以降、池田は心ないファンからのバッシングや嫌がらせ行為を受け、球団からは減俸を提示されるなど、人間不信に陥りました。その後もプレーを続けましたが、心はチームから離れていったといいます。

引退後の人生を支えた言葉

引退後、ジーンズショップを経営しながらも、「世紀の落球」の言葉に苦しめられていた池田ですが、1986年のワールドシリーズでのビル・バックナーのプレーとコメントに感銘を受けます。バックナーの「これが私の人生。このエラーをこれからの人生の糧にしたい」という言葉に共感し、自身の過去を受け入れ、前向きに生きる決意をしました。

2001年には、ドキュメンタリー番組でバックナーとの対面を果たし、互いの経験を語り合いました。この経験を通じて、「自分の体験を話すことで他人を励ましたい」という思いが芽生え、PTAや企業などからの講演依頼を積極的に引き受けるようになりました。

詳細情報

表彰
オールスターゲームMVP：1回 （1972年 第3戦）
記録
1000試合出場：1975年9月3日 ※史上184人目
オールスターゲーム出場：2回 （1972年、1973年）
背番号
52 （1965年）
32 （1966年 - 1970年）
7 （1971年 - 1978年）
登録名
池田 純一 （いけだ じゅんいち、1965年 - 1970年、1977年 - 1978年）
池田 祥浩 （いけだ よしひろ、1971年 - 1976年）

池田純一は、その野球人生を通して、栄光と挫折、そして再生を経験しました。彼の生き様は、多くの人々に勇気と感動を与え続けています。

もう一度検索