決死隊

決死隊：生還を期さない戦術の深層

決死隊とは、作戦遂行のために大きな犠牲を伴うことを前提とした部隊、またはその戦術を指します。成功すれば戦局を大きく左右する可能性がある一方で、生還の可能性は極めて低いという特徴があります。ここでは、決死隊の語源、歴史、そして現代における事例について掘り下げて解説します。

語源と海外での呼称

英語では決死隊を「forlorn hope（フォーローン・ホープ）」と表現します。これは元々、オランダ語の「verloren hoop（フェルローレン・ホープ）」、すなわち「失われた集団」という言葉を誤訳したものです。オランダ語の「hoop」には「希望」という意味の他に、「集団」や「部隊」という意味があり、軍事用語としては後者の意味で使用されていました。

マスケット銃が主流だった時代、敵陣への突破口を開くために志願兵が組織され、決死隊として編成されることがありました。これらの部隊は非常に高い死傷率を伴いましたが、生き残った場合には多大な報酬や名誉が与えられたため、志願者は後を絶ちませんでした。

フランス語では「Les Enfants Perdus（レ・ザンファン・ペルデュ）」、つまり「失われた子供たち」と表現されます。いずれの表現も、決死隊が極めて危険な任務を担う部隊であることを示唆しています。

歴史的な事例

決死隊は、古くから様々な戦場で用いられてきました。有名な例としては、第二次世界大戦中の日本軍によるバンザイ突撃や、日露戦争における白襷隊などが挙げられます。これらの戦術は、兵士の士気を高め、敵陣を突破することを目的としていましたが、多くの場合、多大な犠牲を伴いました。

現代における決死隊

現代戦においても、決死隊に類似した事例が見られます。フォークランド紛争におけるイギリス軍の銃剣突撃は、その一つと言えるでしょう。また、東日本大震災における福島第一原子力発電所事故でのウェットベント作業や、東海村JCO臨界事故における水抜き作業など、計画被ばくを覚悟で行われた作業に従事した人々も、広義の意味で決死隊と呼べるかもしれません。

これらの事例は、極限状態において、人命を顧みずに任務を遂行することの是非を問いかけるものです。

関連項目

キャノンフォダー (en:Cannon fodder)：敵の攻撃によって損耗することが確定している部隊を、非公式に侮蔑した表現。第一次世界大戦の新兵などが該当します。
懲罰部隊：規律違反を犯した兵士や、問題行動を起こした兵士で構成された部隊。
特別攻撃隊：第二次世界大戦末期に日本軍が採用した、航空機や人間魚雷などによる体当たり攻撃を専門とする部隊。
人海戦術：多数の兵員を投入することで、敵を圧倒しようとする戦術。
自爆テロ：自らが爆弾を身につけ、標的に突入するテロ行為。
突撃：敵陣に силовым衝迫をかける戦術。
* バダホスの戦い (1812年)：ナポレオン戦争中のイベリア半島戦役における戦闘。多数の死傷者を出したことで知られています。

まとめ

決死隊は、歴史を通じて様々な形で存在し、その時代ごとの戦術や状況を反映してきました。その存在は、戦争の残酷さ、人間の極限状態における行動、そして倫理的な問題を提起し続けています。

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