沖縄の観光戻税制度

観光戻税制度とは

観光戻税制度は、1972年から2002年まで沖縄県で実施されていた、観光客向けの税金還付制度です。この制度は、沖縄県の観光産業を振興することを目的としていました。

制度の背景

沖縄県は、1972年の日本復帰前、関税や酒税、たばこ税などが非常に低い税率に設定されていました。そのため、外国製品の購入が観光客にとって大きな魅力となっていました。しかし、日本復帰に伴い、これらの税率は本土と同等になり、外国製品は大幅な値上げを余儀なくされました。

この状況に対応するため、観光客が購入した特定の品目を未使用のまま沖縄県外に持ち出すことを条件に、物品税（後に消費税）や酒税を還付する観光戻税制度が導入されました。これは、増税による観光客の減少を食い止め、観光産業を支援するための措置でした。

制度の変遷

制度開始当初は多くの観光客が利用していましたが、沖縄観光の目的がショッピングからマリンレジャーなどの体験型観光へと変化していきました。また、円高や輸入関税の引き下げによって、本土でも外国製品を安く購入できるようになりました。さらに、1989年の消費税導入による物品税の廃止や、ウイスキーやブランデーなどの酒税引き下げにより、戻税額が減少したことも、利用者が減少した要因です。これらの要因が重なり、1980年代以降、観光戻税制度の利用者は年々減少していきました。

制度の廃止と特定免税店制度

2002年、沖縄振興策の一環として特定免税店制度が導入されたことに伴い、観光戻税制度は廃止されました。特定免税店は、沖縄県から県外へ渡航するすべての人が利用でき、品目の制限もありません。そのため、日本人観光客は国内旅行中に免税ショッピングを楽しむことができるようになりました。ただし、特定免税店で免税となるのは関税のみで、消費税やたばこ税などの他の間接税は免税対象外です。

観光戻税の対象品目

観光戻税制度の対象となっていた品目は以下の通りです。

ウイスキーおよびブランデー
身辺用細貨類（アクセサリーなど）
珊瑚、象牙、鼈甲製品
腕時計
香水
喫煙用ライター
万年筆
革製ハンドバッグ

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