沙門果経

沙門果経について

概要

『沙門果経』（しゃもんかきょう、巴: Sāmaññaphalasutta）は、パーリ仏典経蔵長部の中に収められた第2の経典です。この経典は、仏教の出家者の修行の成果について釈迦が説いた内容であり、特に戒律の遵守、瞑想、そして観行に関する果報を詳述しています。漢訳された経典としては、『長阿含経』や『寂志果経』などが該当します。特に、この経典は初期仏教の思想や実践を理解するための重要な資料とされています。

構成と内容

主要登場人物

• - 釈迦: この経典の教えを説く中心的人物。
• - アジャータサットゥ王（阿闍世王）: マガダ国の王で、父を裏切り王位を奪った悪業の象徴として知られる人物。

場面設定

この経典は、釈迦が1250人の比丘と共に、マガダ国の首都ラージャガハの医者ジーヴァカのマンゴー園に滞在していたある夜に展開されます。アジャータサットゥ王が、誰に教えを請えば自らが心安らかに過ごせるかを嘆き、釈迦のもとに求めて訪れる場面から始まります。

王の質問

アジャータサットゥ王は、様々な職業者が持つ技能や果報について述べつつ、出家者が得られる果報について釈迦に尋ねます。そこで、釈迦は彼に対して、山のような戒律を守ることで得られる果報を次々に示していきます。

沙門の果報

持戒の果報

釈迦はまず、出家者が身体、言葉、心の三業を適切に制御し、簡素な生活を送ることができる様子を述べます。その後、具体的な戒律について説明します。出家者は、殺生を避け、誠実であること、他者への配慮を行い、雑念を絶つことを重要視します。

瞑想の果報

次に、釈迦は瞑想の重要性とその果報について詳しく説明します。特に、「四禅」と呼ばれる瞑想の段階における心の動きや、喜びや安楽の体験、さらには心の浄化について語ります。

観行の果報

瞑想からさらに進んで、観行の実践についても触れます。身体や精神の観察を通じて、自らの内面を深く探求し、さまざまな超能力や洞察力を開発することが可能であると述べます。

結論

最終的に、アジャータサットゥ王は釈迦の教えに感銘を受け、在家信者となることを決意します。釈迦は、もし王が悪業の影響を受けていなければ、もっと早く悟りを得ていたであろうと示唆します。この経典は、沙門が求める果報がどのようにして得られるのかを理論的に探求し、仏教の核心的な教えを伝える重要な手助けとされています。これにより、初期仏教の教義を理解する貴重な資料であるといえるでしょう。

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