沢村琴所

沢村琴所

沢村琴所（さわむら きんしょ、1686年3月28日 - 1739年2月16日）は、江戸時代中期の儒学者です。名は維顕（これあき）、字は伯陽（はくよう）、通称は九内（くない）と称されました。

生涯

貞享3年（1686年）に彦根藩士である沢村小平太の次男として生まれました。数え年14歳で藩主井伊直通の小姓として江戸に仕えましたが、元禄15年（1702年）に病に罹り、心疾を理由に致仕しました。当時の藩の制度では、心疾を理由に致仕した者は再仕官が認められなかったため、琴所は勉学の道に進むことを決意します。

京に遊学して学問を修め、帰郷後は読書に励みました。その後、一年間伊藤東涯の門下に入り、古学に専心します。荻生徂徠の書物に触れたことがきっかけで、古文辞学派（徂徠学派）を支持するようになります。

32歳の時、彦根城の南、松寺村（現在の彦根市葛籠町）に居を移し、「松雨亭」と名付けた私塾を開きました。琴所の開塾は評判を呼び、身分や地域を問わず多くの人々が入塾を希望しました。当時、中江藤樹や三宅尚斎の門流は振るわず、琴所の古学のみが盛んであったと伝えられています。

琴所は自らを「貧を分とし」と語り、その人となりは「天資温恭にして身長中人に及ばず、容貌婦人の如くなれど事に臨み手て勇敢なり」と評されています。また、詩歌にも長けており、その口調は温雅であったと伝えられています。

琴所の門下からは、野村公台、種村箕山、松平寒松、奥山華岳、西川国華など、多くの有能な人材が輩出され、彦根における国学隆盛の基盤を築きました。琴所は学問に励む傍ら、農業振興や社会政策の改善にも尽力し、その生涯を社会貢献に捧げました。元文4年（1739年）1月9日に亡くなりました。

著述

琴所は、経済、兵法、詩歌など、幅広い分野で著述を残しています。

『桓公問對』：経済書
『富強録』：経済書
『八陣本義』：兵法書
『軍国要覧』：兵法書
『軍士要覧』：兵法書
『彦陽和歌集』：詩歌書
『古今集序解』：詩歌書
『閑窓集』：詩歌書
『琴所稿珊』：詩歌書
『井家新書』

関連項目

儒学者一覧

外部リンク

彦根市立教育研究所 河瀬小れきしマップ －(7)松雨亭跡

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