河亨柱

河亨柱（ハ・ヒョンジュ）：韓国柔道の英雄、その輝かしい足跡

河亨柱（ハ・ヒョンジュ、1962年6月3日 - ）は、韓国・慶尚南道晋州市出身の柔道家であり、教育者、そして政治家という多岐にわたる顔を持つ人物です。彼の名が最も輝いたのは、1984年のロサンゼルスオリンピック柔道95kg級での金メダル獲得でしょう。安柄根と共に、韓国に初のオリンピック柔道金メダルをもたらした英雄として、その名は深く刻まれています。現在は東亜大学校の教授として教鞭を執り、次世代の育成に力を注いでいます。身長184cm。

スポーツキャリア

ロサンゼルスオリンピックでの金メダルを皮切りに、1986年のソウルアジア競技大会でも95kg級で優勝。1988年のソウルオリンピックに向けて、国民的な英雄としての地位を確立しました。

柔道を始める前は、韓国の伝統的格闘技であるシルムの選手でした。しかし、高校時代に1976年モントリオールオリンピック銅メダリストの趙在基に才能を見出され、柔道への転向を決意。この転向が、後の輝かしいキャリアの幕開けとなりました。

教育者・研究者として

国立釜山体育高等学校、東亜大学校を卒業後、ブリティッシュコロンビア大学でさらに学びを深めました。また、成均館大学校でスポーツ心理学の博士号を取得しています。日本（南山大学・中京大学）への留学経験も持ち、学術的な知識も豊富です。

オリンピック・メダリスト国外留学プログラムにより、2003年から2年間アメリカへ留学。サンフランシスコ州立大学一般心理学科などで学び、スポーツ心理学の分野で研鑽を積みました。

現在、母校である東亜大学校で教授として、スポーツ心理学や発達・発育に関する科目を担当し、後進の指導にあたっています。

社会活動・政治活動

釜山市市議会議員時代には、2002年アジア競技大会の釜山誘致を自ら提案し、実行委員として尽力。開会式では、北朝鮮の柔道金メダリストであるケー・スンヒ選手と共に聖火点火の大役を務め、平和の祭典を象徴するシーンを演出しました。

PeaceK（社団法人平和運動連合）では体育青少年委員長を務め、青少年の育成にも貢献しています。

2008年には、第18代国会議員選挙にハンナラ党から釜山広域市海雲台区・機張郡選挙区（乙）より出馬を試みましたが、惜しくも安炅律に敗れました。

人物像

日本への留学経験から、日本語を流暢に話すことができます。学術・教育活動が可能なほどの語学力は特筆に値します。一方で、アメリカ留学時には英語に苦労したというエピソードも残っています。慶尚道方言を話すことでも知られています。

関連人物

白石安男 - 東京理科大学経営学部准教授。日本留学時に武道、学術研究の両面より支援しました。
安柄根 - ロサンゼルスオリンピック柔道71kg級金メダリスト
ケー・スンヒ（桂順姫） - 朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の女子柔道選手
キム・ミンジュン（金民俊） - 俳優。東亜大学競技指導科出身で、学生時代に河亨柱から直接柔道の指導を受けました。

主な戦績

1981年 - アジア選手権　95kg級　2位　無差別　優勝
1981年 - 世界選手権　3位
1982年 - 世界学生　3位
1983年 - 正力国際　無差別　2位
1984年 - フランス国際　優勝
1984年 -　アジア選手権　2位
1984年 - ロサンゼルスオリンピック　優勝
1985年 - ユニバーシアード　優勝
1985年 - 世界選手権　2位
1986年 - アジア大会　優勝
* 1987年 - 世界選手権　3位

河亨柱は、柔道家としてだけでなく、教育者、政治家としてもその才能を発揮し、韓国社会に多大な貢献をしています。彼の歩みは、多くの人々に勇気と希望を与え続けています。

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