河原崎権十郎 (2代目)

二代目河原崎権十郎（1880年8月6日 - 1955年1月11日）は、本名を長谷幸太郎といい、歌舞伎役者として活躍しました。屋号は山崎屋、俳名に紫扇を持ちます。

東京の日本橋で芝居茶屋の子として生まれ、幼少期から歌舞伎の世界に触れて育ちました。九代目市川團十郎に師事し、1885年に市川薫の名で新富座にて『菅原伝授手習鑑・寺子屋』の菅秀才役で初舞台を踏みました。その後、十一代目片岡仁左衛門の門下に入り、大阪で修行を積みました。1905年には大阪弁天座で二代目市川権三郎を襲名しています。

大阪での修業を経て、東京に戻った二代目河原崎権十郎は、1919年4月に歌舞伎座で師である九代目團十郎の前名である二代目河原崎権十郎を襲名しました。浅草の宮戸座や常盤座などの小劇場を中心に活躍し、『源平布引滝・実盛物語』の実盛や『神明恵和合取組』（め組の喧嘩）の辰五郎など、十五代目市村羽左衛門が得意とした役柄を好んで演じました。その容貌や芸風が羽左衛門に似ていたことから、「浅草の羽左衛門」と呼ばれ、人気を集めました。

この縁から、羽左衛門や六代目尾上菊五郎に見出され、大劇場にも脇役として出演するようになります。晩年は菊五郎劇団に所属し、老け役や大阪での修業で培った丸本物でその存在感を発揮しました。特に丸本物においては、独特の味わい深い演技が評価されました。

二代目河原崎権十郎は、映画にも出演しており、主な作品としては以下のようなものがあります。

鈴ケ森（1937年）
流転 第一部・炎／第二部・星（1937年）
残菊物語（1939年） - 五代目菊五郎 役
長脇差団十郎（1939年） - 清次郎 役
団十郎三代（1944年） - 市川海老蔵 役
大江戸五人男（1951年） - 山中平九郎／お菊 役


二代目河原崎権十郎は、その実力と人気により、歌舞伎界において重要な足跡を残しました。長男は三代目河原崎権三郎、次男は三代目河原崎権十郎として、彼の芸の血筋は後世に受け継がれています。

もう一度検索