河村順子

河村 順子の生涯と音楽

河村順子（かわむら じゅんこ、1925年8月27日 - 2007年1月20日）は、日本の有名な童謡歌手であり、音楽界に多大な影響を与えた存在です。東京都小石川区久堅町に生まれた彼女は、音楽家の家庭に育ち、特に父である童謡作曲家・河村光陽から強い影響を受けました。彼女の妹も童謡歌手として知られており、家族全体が音楽に関与していたことが感じられます。

河村は1932年にポリドール・レコードからデビューし、「かごめかごめ」や「お薬とり」といった曲で初めてその声を世に知らしめました。わずか5歳の時のデビューから、彼女の音楽キャリアは急速に展開していきました。1935年にはポリドール専属となり、1936年にはキングレコードに移籍します。この年、父の作曲による「うれしいひなまつり」がヒットし、彼女の名は広まっていきました。

その後、父の作曲による「かもめの水兵さん」や「りんごのひとりごと」、「赤い帽子白い帽子」など、数々の名曲を世に送り出しました。特に「かもめの水兵さん」は戦前・戦中において最も売れた童謡の一つとして、多くの人々の記憶に残っています。その後、彼女は声楽家の木下保に師事し、音楽学校に進学するためキングとの専属契約を解消しました。

1944年には武蔵野音楽学校声楽科に入学し、1946年には父の急死を受けて彼が率いていた子鳩会児童合唱団を引き継ぎました。この団体での活動は、彼女にとって重要な経験となり、その後のキャリアに生かされました。卒業後は、歌劇「カルメン」におけるミカエラ役で再デビューし、続いてNHKの「子供の時間」やニッポン放送で歌のお姉さんとして多くのファンに親しまれました。

また、キング、コロムビア、クラウンといったレコード会社で多くの童謡を録音し、1963年にはオーストリアのザルツブルクにあるオルフ研究所へ留学しました。帰国後、1966年からは千葉敬愛短期大学で教授として音楽指導を行い、後進の育成にも力を入れました。

1987年にはCD『河村順子・童謡の歩みI』をリリースし、新たに録音した「流れ星」や「夕方のお母さん」といった楽曲が話題となりました。1991年にはその続巻、『河村順子・童謡の歩みII』も発売されました。また、1985年には第15回日本童謡賞特別賞を受賞し、その功績が認められました。

河村順子は57年間にわたり約380曲の童謡を吹き込み、累計でのレコード売上は1000万枚を超えます。これらの成果が評価され、1989年には『ギネスブック』に登録されるなど、その実績は大変顕著です。

2007年1月20日、彼女は81歳でこの世を去りました。河村順子の音楽と彼女が残した足跡は、これからも多くの人々の心の中に生き続けることでしょう。

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