河盛安之介

河盛安之介

河盛安之介（かわもり やすのすけ、1886年10月29日 - 1976年7月24日）は、昭和時代前期の政治家であり、実業家としても手腕を発揮しました。衆議院議員を1期務め、大阪府堺市長を官選と公選で歴任し、堺市を政令指定都市へと導く礎を築いた人物として知られています。

生涯

茨城県出身の河盛安之介は、竹内権兵衛の三男として生まれ、後に河盛又三郎の養子となります。1909年に東京高等商業学校本科を卒業後、専攻科を修了しました。実業界では、1921年に広島県呉市で合資会社河盛商店を創業し、業務執行社員として事業を推進。翌年には有限責任堺興業信用組合を創立し、組合長理事に就任するなど、多岐にわたる事業を手がけました。その他、堺醤油製造合資会社の業務担当社員、河又醤油社長、南海土地建物の取締役、河盛商店の監査役、そして大醤（河又醤油とイヅミイチの合同会社）の初代社長などを歴任しました。

政治家としては、1925年に堺市会議員に初当選し、同議長、堺商業会議所副会頭などを経て、1933年に堺市長に就任（官選）。1942年の第21回衆議院議員総選挙では、大阪府第6区から翼賛政治体制協議会の推薦を受け当選し、衆議院議員を1期務めました。所属政党は、翼賛政治会、翼壮議員同志会、日本進歩党と変遷しました。

戦後、公職追放を経て、1951年に追放解除。1955年から1971年まで公選で堺市長を務めました。

堺市「100万都市構想」

河盛安之介の最大の功績は、第13代堺市長として、人口30万人台であった堺市を大都市へと発展させる「100万都市構想」を提唱したことです。彼は、堺市の北西部の大阪湾岸を埋め立てて工場を誘致し、堺泉北臨海工業地帯を造成。同時に、南東部の山間部を切り開いて住宅地を造成することで、人口100万人の大都市を目指しました。この構想を実現した際には「市民税を無料にする」という大胆な目標を掲げていたと伝えられています。

この構想は、後継市長である我堂武夫によって、1976年に政令指定都市昇格を目指す構想として正式に発表されました。同年には、山間部を開発した泉北ニュータウンへの入居が開始され、堺市の人口は急増。1983年には80万人を突破しました。そして、2005年に美原町と合併し、翌2006年に堺市は政令指定都市へと移行しました。河盛安之介の描いた「100万都市構想」は、時間を経て実現したのです。

親族

養父：河盛又三郎（実業家）
兄：竹内権兵衛（父も同名、実業家、貴族院多額納税者議員）

河盛安之介は、堺市の発展に大きく貢献した政治家、実業家であり、その功績は今日でも高く評価されています。

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