河野六郎

河野 六郎の生涯と業績

河野 六郎（こうの ろくろう）は、1912年12月16日に兵庫県神戸市に生まれた日本の優れた言語学者である。彼は東京大学で言語学を学び、1937年に卒業。その後、彼は言語学の道を歩み始め、多くの言語に関する研究を行った。特に朝鮮語と中国語に関しての専門性が際立っていた。

彼の学問的キャリアは、1940年に小倉進平からの推薦で京城帝国大学の助手に就任したことに始まる。その後、1941年には講師、1942年には助教授に昇進した。戦後は1958年から東京教育大学の言語学教室の教授として活躍し、1962年には「朝鮮漢字音の研究」を発表することで文学博士の学位を取得した。1976年に定年退官した後も大東文化大学の教授として教鞭を執り、1983年までその役割を続けた。1986年には日本学士院の会員に選ばれるなど、学界での地位を確立した。

河野の研究は特に朝鮮方言や中国音韻に関するもので、彼の著作は今でも言語学の分野において重要視されている。著作には『朝鮮方言学試攷』や、彼の研究成果をまとめた『河野六郎著作集』全3巻があり、これらは彼の知識と功績を後世に伝える貴重な資料となっている。1979年から1980年にかけて刊行された著作集は、朝鮮語学の論文集、中国音韻学の論文集、文字論・雑纂を含んでいる。

彼はまた、言語学関係の辞典や書籍の編集にも携わり、1988年に発表された『言語学大辞典』では、亀井孝と千野栄一と共に編者の一人として名を連ねた。彼の著作は、言語学の理論や実践について深い洞察を提供しており、研究者や学生にとって必須の内容となっている。

受賞歴においては、1993年に文化功労者として表彰されており、彼の業績が広く認知されたことを証明している。彼の兄である河野与一も著名な哲学者であり、その影響を受けながら、河野六郎は自身の研究に没頭していた。

さらに、彼は映画や文学作品の翻訳も手掛け、特に1959年に出版された『銀のナイフ』や、74年のエティエンヌ・ジルソンによる『言語学と哲学－言語の哲学定項についての試論』は、その一部である。

河野六郎は、1998年10月7日に亡くなるまで、日本の言語学界に多大な影響を与え続け、多くの学生たちや専門家に感銘を与えた。彼の研究や哲学は、今後の世代に引き継がれていくことだろう。

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