油槽所

油槽所の役割と現状

油槽所は、製油所で精製されたガソリンや軽油などの石油製品を一時的に貯蔵する施設です。タンクローリーなどを用いて、ガソリンスタンドなどの販売拠点へ石油製品を供給する重要な役割を担っています。かつては製油所から油槽所を経由してガソリンスタンドへ配送されるのが一般的でしたが、近年は物流効率化のため、製油所から直接ガソリンスタンドへ配送されるケースが増加しており、油槽所の数は減少傾向にあります。

油槽所の種類

油槽所は、その立地によって大きく分けて臨海型と内陸型の2種類があります。

臨海型油槽所

臨海型油槽所は、工業港などに設置され、製油所から石油製品を内航タンカーで輸送します。その後、タンクローリーに積み替えて、各地のガソリンスタンドへ配送されます。規模の大きな工業港には、多くの場合、臨海型油槽所が設置されています。釧路港、境港、広島港、高知港、鹿児島港などがその例として挙げられます。また、漁船への燃料供給を目的とした油槽所は、漁港にも存在します。これらの油槽所は、漁業協同組合などが運営しているケースが多いです。

内陸型油槽所

内陸型油槽所は、工業港から離れた内陸地域に設置されます。石油製品は、製油所からタンクローリーや鉄道貨車によって輸送されます。鉄道輸送を利用する内陸型油槽所は、鉄道駅に隣接して設置されることが多く、日本[[石油輸送]]や日本オイルターミナルなどが運営に関わっています。例えば、日本貨物[[鉄道]]の村井駅・南松本駅に隣接する松本ターミナル、郡山駅に隣接する郡山ターミナル、北旭川駅に隣接する旭川ターミナルなどが挙げられます。これらのターミナルの運営・管理は、石油会社や日本オイルターミナルなどが行っています。

共同油槽所

多くの油槽所は、特定の石油元売会社が専有して使用していますが、複数の元売会社が共同で使用する共同油槽所も存在します。共同油槽所では、複数の元売会社の石油製品が同一のタンクに混合して貯蔵される場合があります。代表的な例として、ENEOSとコスモ石油が共同で運営する東西オイルターミナルが挙げられます。共同油槽所が設置されている地域では、共同配送が行われるケースもあり、例えば、ENEOSのガソリンスタンドにコスモ石油のレギュラーガソリンが供給されるといった事例も起こり得ます。これは、物流コストの削減や効率化を図る目的で行われています。

油槽所の将来

近年、石油製品の輸送方法や物流システムの効率化が進んでいることから、油槽所の数は減少傾向にあります。製油所から直接ガソリンスタンドへ配送するシステムが普及し、油槽所を経由する必要性が低くなってきているためです。しかし、地域によっては、引き続き重要な物流拠点としての役割を果たしており、今後もその存在意義は維持されるものと考えられます。特に、内陸部への石油製品供給においては、内陸型油槽所は重要な役割を担い続けるでしょう。また、共同油槽所は、複数の元売会社が資源を共有することで効率的な運営を実現し、コスト削減に貢献する可能性があります。

まとめ

油槽所は、石油製品の安定供給に不可欠な施設であり、その役割は臨海部と内陸部で異なっています。今後も物流環境の変化に対応しながら、効率的な石油製品供給システムの一端を担っていくものと期待されます。

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