治安裁判所 (琉球民裁判所)

治安裁判所について

治安裁判所（Magistrates Court）は、琉球民裁判所における裁判所の一つです。裁判は裁判官1名によって行われる「単独制」を採用しています。

構成

治安裁判所は、「治安裁判所上席判事」と「治安裁判所判事」によって構成されています。判事は、琉球列島高等弁務官の認可を得て、行政主席が任命します。上席判事の任期は2年であり、その他の判事は特に問題がない限り終身となります。

裁判権

布告や布令によると、治安裁判所は以下の事項について第一審の裁判権を有しています。

1. 刑事訴訟：
「軽罪」（法定刑に1年以上の懲役・禁錮が規定されていない罪）に係る刑事訴訟。ただし、少年犯罪は除きます。

2. 行政訴訟：
琉球政府が発行する免許の停止に係る訴訟。

3. 裁判所侮辱罪：
裁判所侮辱罪（contempt of court）に係る訴訟。
「裁判所侮辱罪」とは、英米法に基づく概念で、日本の現行法には存在しない罪です。この罪に対しては、1万B円以下の罰金、または2ヶ月以下の懲役もしくは禁錮を科すことができました。

4. 民事訴訟:
訴訟価額が5万B円以下の民事訴訟。
ただし、以下の場合は除きます。
親族関係及び遺言または卑属による相続に関する訴訟
公務員による職務上の作為及び不作為の適法性に関する訴訟
土地所有権に関する訴訟

治安裁判所の一覧

琉球には、以下の治安裁判所がありました。

那覇治安裁判所
コザ治安裁判所
名護治安裁判所
平良治安裁判所
石垣治安裁判所

参考文献

照屋栄一『沖縄行政機構変遷史 明治12年～昭和59年』照屋栄一、1984年8月15日。NDLJP:9775065。

関連項目

琉球民裁判所
巡回裁判所
琉球上訴裁判所

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