法助

法助（ほうじょ）

法助は、嘉禄3年（1227年）に生まれ、弘安7年（1284年）に没した鎌倉時代中期の真言宗の僧侶です。摂政左大臣である九条道家の五男として生まれました。母は太政大臣西園寺公経の娘、掄子です。彼は、皇族以外の人物として初めて仁和寺の門跡となり、僧侶としては初めて准后の位に上りました。

経歴

法助は嘉禎4年（1238年）に12歳で出家し、京都仁和寺で道深法親王に師事しました。同年には東大寺戒壇院で満分戒を受けています。延応元年（1239年）には一身阿闍梨の宣下を受け、翌日には准后宣下を受けました。寛元元年（1244年）には八大師御影を図り、翌年には観音院で道深法親王から伝法灌頂を受けています。

建長元年（1249年）には、皇胤以外の人物として初めて仁和寺の第10世を継承し、教説を講じました。正嘉2年（1258年）には門跡の地位を辞して性助入道親王に譲り、乙訓郡開田院に隠退し、開田准后、開田御室と号しました。文永元年（1264年）には孔雀法を修めています。弘安7年（1284年）に58歳で示寂しました。

『とはずがたり』との関連

後深草院二条の随筆である『とはずがたり』に登場する「有明の月」という人物のモデルは、性助入道親王もしくはこの法助ではないかと考えられています。このことから、当時の貴族社会における法助の存在感が窺えます。

法助は、その出自の高さに加え、学識と徳を備えた僧侶として、鎌倉時代中期に大きな影響力を持っていた人物と言えるでしょう。彼が残した足跡は、真言宗の歴史においても特筆すべきものとして、後世に語り継がれています。

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