法幢寺

法幢寺（ほうどうじ）

法幢寺は、岐阜県美濃加茂市市橋にある臨済宗妙心寺派（聖澤派長興院下）の寺院です。金凰山と号し、美濃三十三観音霊場三十一番、中濃八十八ヶ所霊場七十六番札所として、地域の人々に親しまれています。

歴史

法幢寺の創建は、鎌倉時代末期に天台宗寺院として開かれたと伝えられています。開基は不明ですが、開山は石門和尚であるとされています。当初の本尊は聖観世音菩薩であり、他に延命地蔵菩薩と弘法大師像も安置されています。寺では、涅槃会と降誕会の花祭りが行われています。

慶長9年（1604年）には、加治田村にあった臨済宗妙心寺派の龍福寺の陽南和尚の弟子である祖珊首座が住持となり、寺号を金剛山法蔵寺と改めました。その後、無住の期間を経て、慶安2年（1649年）に木曽谷の中山道須原宿にある定勝寺より石門和尚が住持となり、現在の山号と寺号に改められました。さらに寛文2年（1662年）には、加茂郡酒倉村にある長蔵寺の閩嶺和尚が中興開山し、長蔵寺の末寺となりました。

寺宝

法幢寺は、多くの文化財を所蔵しています。中でも特筆すべきは、美濃加茂市の文化財に指定されている南北朝時代の大般若経600巻です。また、軍扇も寺宝として伝えられています。この軍扇については、二つの異なる伝承が存在します。一つは、嘉永5年(1852年)に記された由緒書によるもので、永禄8年(1565年)に織田信長が堂洞城を攻めた際に法幢寺を陣屋とし、その際に信長が市橋氏の先祖に下賜したというものです。もう一つは、享保2年(1717年)の軍扇由緒書によるもので、武蔵国忍城主の子孫である成田長治が寄進したというものです。いずれの伝承が正しいかは不明ですが、寺の歴史を物語る貴重な品であることは確かです。

寺の裏には数基の古墳が存在し、古代からこの地が重要な場所であったことを示唆しています。

参考文献

『美濃加茂市史　民俗編』　第一二章　仏寺と法会　第六節　加茂野　法幢寺　p407～p408　美濃加茂市　1978年
『美濃国加茂郡誌』 第七章 宗敎　第二節　寺院　【加茂野　法幢寺】　p756～p757　岐阜県加茂郡役所　 大正10年（1921年）

外部リンク

* 法幢寺

法幢寺は、長い歴史の中で様々な変遷を経て、現在の姿に至っています。地域の人々にとって心の拠り所であり、貴重な文化財を伝える寺として、これからもその役割を果たしていくことでしょう。

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