法論

法論（ほうろん）とは

法論とは、仏教において、教義を異にする宗派間で、それぞれの宗義の優劣や真偽について論争を行うことです。宗論や問答とも呼ばれます。

法論の概説

法論は、それぞれの宗派が自らの教義の正当性を主張し、相手の教義の誤りを指摘することで、優位性を明らかにしようとするものです。論争は、時に激しい応酬となり、宗派間の対立を深めることもありました。

歴史上、数々の有名な法論が存在します。以下に主なものを紹介します。

歴史上有名な法論

三一権実諍論（さんいつごんじつじょうろん）: 天台宗と三論宗の間で行われた論争です。
応和宗論（おうわしゅうろん）: 浄土宗と禅宗の間で行われた論争です。
安土宗論（あづちしゅうろん）: 浄土宗と法華宗の間で行われた織田信長の前で行われた論争です。
小樽問答（おたるもんどう）: 浄土真宗と日蓮宗の間で行われた論争です。
承応の鬩牆（じょうおうのげきしょう）: 浄土真宗内部の宗派間で行われた論争です。
三業惑乱（さんごうわくらん）: 禅宗内部で行われた論争です。
明和の法論（めいわのほうろん）: 浄土宗と日蓮宗の間で行われた論争です。
サムイェー寺の宗論: チベット仏教において、インド仏教と中国仏教の間で行われた論争です。

諺

「法論はいずれが負けても釈迦の恥」という諺があります。これは、宗派間の争いは、仏教全体の名誉を傷つける行為であるという戒めです。この諺を題材にした落語や狂言も存在します。

法論は、仏教の教義を深める上で重要な役割を果たしてきた一方で、宗派間の対立を生む原因ともなりました。現代においては、対話を通じて相互理解を深める姿勢がより重視されています。

参考文献

* 師茂樹『最澄と徳一 : 仏教史上最大の対決』岩波書店〈岩波新書〉、2021年。ISBN 978-4-00-431899-6。

もう一度検索