法長寺

法長寺について

法長寺（ほうちょうじ）は、埼玉県秩父郡横瀬町に位置する曹洞宗の寺院です。山号は青苔山と呼ばれ、秩父札所の第七番にあたります。さらに、横瀬町の歴史的な名所としても知られています。

本堂の特徴

法長寺の本堂は、間口が24.4メートル、奥行が18メートルと非常に広々としており、瓦葺の入母屋造りです。秩父札所の中でも特に大きな伽藍とされ、内部には観音堂も設けられています。これは珍しい構造であり、平賀源内の原図に基づいて設計されたと伝えられています。寺内の正面には、四国八十八箇所の第八十六番志度寺に関する「玉取り物語」の彫刻が見られ、文化的な価値が高いです。

ご詠歌と本尊

法長寺の本尊に関しては、「おん まか きゃろにきゃ そわか」という真言が唱えられています。また、法長寺では「六道を兼ねて巡りて拝むべし 又後の世を聞くも牛伏」というご詠歌も知られています。

歴史的背景

法長寺は1606年に凉堂寒清大和尚によって開山されたとされています。開基は内田家の2代目、図書頭・重賢です。当初は、牛伏堂として存在していました。この牛伏堂は、根古屋の牛伏にありましたが、1782年に火災に見舞われ、その際、本尊である十一面観音像が法長寺に移されました。これにより、現在の法長寺が札所第七番の地位を確立したのです。

牛伏堂の名称にはいくつかの伝説が存在します。平将門にまつわる伝承の一つでは、花園左エ門という家来が将門と戦い、亡くなった後、妻が夢に出てきた夫から、村にいる牛の子供として生きる苦しみを受けていると告げられます。これをきっかけに、妻は尼となり観世音菩薩に仕えることになります。その結果、夫の苦しみは消えたと言われています。

別の伝説では、牧童が草刈りをしていた際に現れた牛が、その後、動かなくなってしまったという話があります。次の朝、牛の姿は消え、代わりに十一面観音像が残されていました。このことから、牛は観世音菩薩の化身であるとされ、十一面観音像を奉るために牛伏堂が建立されたのです。

文化財

法長寺には、紙本着色の涅槃図が保存されており、これは横瀬町の指定有形文化財です。この大涅槃図は、2.75メートルの縦幅と3.12メートルの横幅を持ち、釈迦が涅槃に入るシーンが描かれています。周囲には悲しみに暮れる仏弟子たちや王、動物たちが描かれており、その中央に釈迦が位置しています。さらに、釈迦を見守る7人の菩薩は金色で彩られ、非常に豪華な作品です。この涅槃図は1787年に制作されたもので、制作者や制作年についても記載されています。

アクセス

法長寺には、西武秩父線の西武秩父駅から西武観光バスに乗り、「横瀬橋」バス停で下車、そこから徒歩約10分の距離にあります。また、五番札所の語歌堂からは徒歩30分、六番札所の卜雲寺からは徒歩10分と、他の札所とのアクセスも良好です。

まとめ

法長寺は、埼玉県秩父郡における重要な宗教的・文化的拠点です。その雄大な本堂や歴史的な背景、そして数々の伝説や文化財によって、多くの人々に親しまれています。訪れる者には、深い歴史と静寂に包まれた場所として、心豊かなひとときを提供してくれることでしょう。

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