語歌堂

語歌堂の魅力

埼玉県秩父郡横瀬町に位置する語歌堂（ごかどう）は、臨済宗南禅寺派に属する魅力的な寺院であり、小川山という山号を持っています。秩父札所の第五番であるこの寺院は、地域の重要な史跡としても認識されています。興味深いことに、納経所は語歌堂から250メートルほど東に位置する長興寺で、観音堂と別当寺の形を残した札所の本来の姿を体現しています。

本尊とご詠歌

語歌堂の本尊である准胝観世音菩薩には特別な真言があり、それは「おん しゃれい それい そんでい そわか」と称されます。また、寺院に伝わるご詠歌は「父母の恵みも深き語歌の堂 大慈大悲の誓いたのもし」で、感謝の念や深い信仰心が表現されています。

歴史の背景

語歌堂の設立は、長興寺の大旦那である本間孫八によって行われました。語歌堂の名前の由来には興味深い伝説があり、孫八は和歌の魅力に取りつかれた風流人でした。ある晩、彼は堂に閉じこもり、歌の奥義を模索していたところ、訪れた僧と深い論議を交わしました。しかし翌朝、目を覚ました時にはその僧は姿を消していました。この僧は実際には救世観世音菩薩の化身であったとされ、それを知った孫八は観音堂を「語歌堂」と名づけたと伝わります。現在の観音堂は文化年間の地元の棟梁によって作られ、四間四方の方形の造りが特徴的です。

文化財としての存在

語歌堂には、准胝観世音菩薩像が祀られており、慈覚大師の作と伝承されています。准胝観世音菩薩は密教における女性尊であり、障害を除く、延命を助ける、子どもの願望を叶える、病を治すなど、多くの役割を担っています。日本の観音霊場の中で、准胝観音が本尊として祀られているのは語歌堂と西国三十三所の上醍醐寺の2か所のみであり、非常に貴重な存在とされています。

アクセス情報

語歌堂へのアクセスは非常に便利です。西武秩父駅または秩父駅から西武観光バス「定峰・皆野駅行き」に乗り、「語歌橋」で下車し、そこから徒歩3分の場所に位置しています。また、四番札所の金昌寺からは徒歩20分の距離にあります。長興寺への納経所へは語歌堂から徒歩3分で行くことができます。

前後の札所

語歌堂は秩父札所の一部として、周辺には他にも多くの札所があります。具体的には、4番札所の金昌寺から1.3キロメートル離れており、6番札所の卜雲寺までは2.7キロメートルです。別の道を通ると、5番の語歌堂から7番の法長寺へは2.0キロメートル、さらに卜雲寺までは0.7キロメートルの距離です。これらの札所を巡ることは、秩父の自然と歴史を体験する素晴らしい機会となるでしょう。

語歌堂は、訪れる人々に和歌や仏教の深い教えを感じさせてくれる場所であり、地域の文化遺産としても大切にされているスポットです。

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