卜雲寺

卜雲寺の紹介

卜雲寺（ぼくうんじ）は、埼玉県秩父郡横瀬町にある曹洞宗の寺院であり、向陽山という山号を持ちます。この寺院は秩父札所の第六番に位置し、横瀬町の重要な史跡としても認定されています。本尊である聖観音は、信仰の対象として多くの参拝者に親しまれています。卜雲寺の真言は「おん あろりきゃ そわか」であり、参拝者はこの言葉を唱えながら祈りを捧げます。また、寺院のご詠歌には、「初秋に風吹き結ぶ荻の堂 宿かりの夜の夢ぞ覚めける」という句があり、自然との調和を感じさせる美しい表現が印象的です。

歴史的背景

卜雲寺は、1638年（寛永15年）に創立されました。開山は撫外春堂、開基は卜雲入道（嶋田三河守四郎左衛門の法名）によるものです。歴史によると、初めに荻野堂は苅米5区の竹の後に、大きな池「卜ヶ池」が埋め立てられた場所に建立されたとされています。この時、武甲山の聖観音が荻野堂へ移されることになりました。しかし、その荻野堂は後に火災によって失われ、1760年（宝暦10年）に卜雲寺に移築されて再建されました。さらに1876年（明治9年）にも火災が発生し、再び本堂や荻野堂、庫裏などが焼失しました。最終的には1907年（明治40年）に寺の堂宇が再建され、その際に荻野堂の本尊である聖観音も本堂に移されて祀られています。

文化財

卜雲寺には、いくつかの重要な文化財が保存されています。

清涼寺式釈迦如来立像

この像は横瀬町指定の有形文化財であり、986年（寛和2年）に東大寺の僧奝然が宋で作成した釈迦如来立像に基づいたものです。卜雲寺の釈迦如来立像は室町時代に制作されており、特に縄目状の編髪や水波状の衣文が特徴的です。像高は92.3cmで、寄木造の技法が用いられています。膨らむような体幹部と、精緻な彫刻が施された頭部は特に見どころです。1995年には修復が行われ、現在もその美しさを保っています。

紙本着色荻野堂縁起絵巻

この絵巻は横瀬町の指定有形文化財で、荻野堂が築かれるまでの歴史を描いたもので、1781年（天明元年）に制作されました。絵巻には、行基菩薩が武甲山に住む山姥を退治し、万民が安らかに過ごせるように祈ったこと、そして聖観音の尊像が現れたことが描かれています。これにより、荻野堂が建立される経緯が詳しく伝えられています。

アクセス情報

卜雲寺へのアクセスは、西武秩父線の西武秩父駅から出ている西武観光バス「松枝・長渕・根古屋ゆき」に乗り、「横瀬橋」で降車後、徒歩約10分です。また、周辺には五番札所語歌堂や七番札所法長寺があり、これらの名所を巡ることができます。特に徒歩での移動も可能なため、歴史を辿りながら散策を楽しむことができるでしょう。

まとめ

卜雲寺は、その歴史や文化財のみならず、地域の信仰の場としても重要な役割を果たしています。訪れる者たちにとって、静かな環境の中で心を落ち着けることができる、貴重な場所であるといえるでしょう。

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