波多正美

波多正美：日本のアニメ史を彩る巨匠の軌跡

波多正美氏は、1942年11月5日生まれの日本のアニメーター、アニメ演出家、監督です。長年にわたり日本のアニメ業界に貢献し、特にサンリオの長編劇場アニメーション作品で数々の監督作品を手掛けたことで知られています。台湾台北市で生まれ、父親の転勤に伴い、富山県や新潟県など各地を転々とした幼少期を過ごしました。そのため、ご自身は「出身地がどこなのかわからない」と語っていたそうです。

多摩美術大学油絵科在学中には、東京ムービー制作のテレビアニメ『ビッグX』に応募。アニメーター見習いとして入社を果たします。同時期には東京オリンピックの場内係員にも応募していましたが、落選。もし採用されていたなら、アニメ業界には携わっていなかったかもしれないと、氏は振り返っています。この経験をきっかけに大学を中退し、虫プロダクションの『W3』に参加。アニメーターとしてキャリアをスタートさせました。

虫プロダクションでは『アンデルセン物語』や『国松さまのお通りだい』などの作品に参加。その後、虫プロ出身のスタッフが設立したマッドハウスを経て、サンリオのアニメーション部門に移籍します。『チリンの鈴』『シリウスの伝説』『妖精フローレンス』など、数々の長編劇場アニメーション作品を監督し、その才能を遺憾なく発揮しました。サンリオ映画のアニメーション部門解散後も、スタッフと共にグルーパープロダクションを設立し、サンリオキャラクターを起用した作品などを手掛けました。1996年頃、グルーパープロダクションを解散した後、フリーランスを経て再びマッドハウスに戻り、『ねずみ物語 〜ジョージとジェラルドの冒険〜』『スティッチ!』『スティッチ! 〜いたずらエイリアンの大冒険〜』などの監督を務めました。

波多正美氏のキャリアは実に多岐に渡ります。テレビアニメでは、『ビッグX』、『W3』、『あしたのジョー』、『はじめ人間ギャートルズ』、『おじゃる丸』、『スティッチ！』シリーズなど、数多くの作品に携わり、作画、脚本、演出、監督など様々な役割を担ってきました。劇場アニメにおいてはサンリオ作品を中心に多くの監督作品を残しており、OVA作品においても高い評価を受けています。また、『手塚治虫物語 ぼくは孫悟空』ではSF西遊記パートの監督・脚本を務めるなど、幅広いジャンルに挑戦し続けています。

80代となった現在もなお現役の演出家として活躍を続け、そのキャリアは日本のアニメ史に大きな足跡を残しています。初期のテレビアニメから現代の作品まで、長きに渡り第一線で活躍してきた波多正美氏の経験と技術は、後進のアニメーターや演出家たちにとって貴重な財産となっています。数々の作品で培ってきた卓越した演出力と、アニメーションに対する情熱は、これからも多くの視聴者を魅了し続けることでしょう。彼の作品は、日本のアニメーションの歴史において、なくてはならない存在として記憶されています。

主な参加作品 (抜粋)

テレビアニメ:
ビッグX
W3
あしたのジョー
はじめ人間ギャートルズ
おじゃる丸
スティッチ!
スティッチ! 〜いたずらエイリアンの大冒険〜

劇場アニメ:
チリンの鈴
シリウスの伝説
妖精フローレンス
ねずみ物語 〜ジョージとジェラルドの冒険〜

OVA:
那由他
けろけろけろっぴシリーズ多数
ハローキティシリーズ多数

波多正美氏の今後の活躍にも期待が高まります。

もう一度検索