波田久夫

波田久夫：関西テレビ時代劇を彩った名脇役俳優

波田久夫（はたひさお）は、1929年または1930年生まれ、2015年3月11日没の日本の俳優、演出家です。波多久夫、波田久男という表記名も使用していました。

輝かしいテレビ時代劇での活躍

1950年代から1990年代にかけて、関西の放送局制作のテレビ時代劇に欠かせない存在として活躍しました。数々の作品に出演し、その演技力は高く評価されました。特に、1958年から放送されたABCテレビの時代劇『部長刑事』への長年の出演は有名で、針井警部補役として多くの視聴者から親しまれていました。

時代劇においては、悪代官や幕閣の家老といった悪役を演じる機会が多かったですが、一方で気のいい職人や父親といった善人役も演じ分けるなど、幅広い役柄をこなせる高い演技力を持ち合わせていました。その演技は、悪役であっても憎めない魅力があり、時代劇に深みを与えていました。 善人役では、温かさや誠実さを表現し、視聴者からの共感を呼びました。

演劇界への貢献

俳優としての活動以外にも、波田久夫は演劇界にも大きく貢献しました。関西芸術座や劇団未来に所属し、若い世代の育成にも積極的に関わっていました。演出講師として、多くの若手俳優を指導し、彼らの才能を伸ばすことに尽力しました。後進育成への情熱は、晩年まで衰えることはありませんでした。 自身の経験や知識を惜しみなく伝え、演劇界の発展に貢献したことは高く評価されています。

晩年と死去

長年に渡る俳優、演出家としての活動の後、2015年3月11日、85歳（満84歳）でこの世を去りました。多くの名作時代劇を残し、後進の育成にも力を注いだ波田久夫の功績は、日本の演劇史に永遠に刻まれるでしょう。

主な出演作品

波田久夫は、実に多くのテレビドラマや映画、舞台に出演しました。以下はその主な作品です。

テレビドラマ

部長刑事（1958年 - 1990年、ABC）：針井警部補役として長年出演。同番組を代表するキャラクターとして記憶に残っています。
ナショナル日曜観劇会 釜ヶ崎（1961年、TBS）
素浪人 月影兵庫（1966年、NET / 東映）
銭形平次（CX / 東映）：複数回出演。
新吾十番勝負（1966年、TBS / 松竹テレビ室）
プロファイター（1969年、宝塚映画）
水戸黄門（TBS / C.A.L）：シリーズを通して複数回出演。様々な役柄を演じ、その存在感は抜群でした。
大岡越前（TBS / C.A.L）：シリーズを通して複数回出演。
木枯し紋次郎（1972年、CX / C.A.L）
地獄の辰捕物控（1972年、NET / 東映）
必殺シリーズ（ABC / 松竹）：複数のシリーズに出演。
遠山の金さん捕物帳（NET）
お祭り銀次捕物帳（1972年、CX / 東映）
江戸を斬る シリーズ（TBS / C.A.L）：複数のシリーズに出演。
おしどり右京捕物車（1974年、ABC）
徳川三国志（1975年、NET / 東映）
新・河原町東入ル（1977年、KTV）
桃太郎侍（NTV / 東映）：複数回出演。
八丁堀暴れ軍団（1979年、東京12チャンネル / C.A.L）
斬り捨て御免!（1981年、12ch / 歌舞伎座テレビ）
吉宗評判記 暴れん坊将軍（ANB / 東映）：複数回出演。
眠狂四郎円月殺法（1982年、TX / 歌舞伎座テレビ）
松平右近事件帳（NTV / ユニオン映画）：複数回出演。
長七郎江戸日記（NTV / ユニオン映画）：複数シリーズに出演。
銀河テレビ小説 わが歌・我愛ニイ（1988年、NHK大阪放送局）
八百八町夢日記（NTV / ユニオン映画）
NHK子どもパビリオン（1991年、NHK）
サスペンス・魔 ある男の三日間（1993年、KTV / 東映）
土曜ワイド劇場（1994年、ABC / 松竹）
新・赤かぶ検事奮戦記（1994年、1995年）
花王ファミリースペシャル 裸の大将放浪記（1994年、KTV）

映画

風来忍法帖（1965年、東宝）
風来忍法帖 八方破れ（1968年、東宝）
子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる（1972年、東宝）

舞台

劇団未来公演：演出
大阪新劇団協議会プロデュース公演「わが街・大阪ひがし」（2012年2月）：演出助手

ラジオドラマ

* NHK FMシアター「空の色紙」（1985年）

波田久夫は、長年にわたり日本の映像・演劇界に多大な貢献をしました。その功績は、多くの作品を通じて、そして後進の育成を通じて、これからも語り継がれていくことでしょう。

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