泰遠寺

泰遠寺：越前松岡藩ゆかりの歴史ある寺院

福井県福井市に位置する泰遠寺は、日蓮宗に属する由緒ある寺院です。大本山妙顕寺を旧本山としており、その歴史は越前松岡藩と深く関わっています。

寛文元年（1661年）、越前松岡藩主・松平昌勝の招きにより、妙泰寺十三世日琢が越前国南条郡大道村から松岡観音町に移り、寺院を創建しました。当初は妙泰寺と名乗っていましたが、同名の寺院があったため、泰遠寺と改称されました。松平文庫にある正徳3年（1713年頃）の松岡家中絵図には、松岡観音町南裏側に位置していたことが記載されています。

享保6年（1721年）の福井藩主・松平吉邦の死去後、その兄である松平宗昌（当時は昌平）が福井藩を継承したことにより、松岡藩は福井藩に統合されました。このため、旧松岡家中は享保10年（1725年）から元文4年（1739年）にかけて福井へ移転し、泰遠寺も寛保元年（1741年）、松岡から福井城下足羽山南の現在地に移転しました。

移転以前の松岡にあった泰遠寺には、築山が隣接していました。その後、この築山が古墳であることが判明し、「泰遠寺山古墳」と命名されました。

泰遠寺には、越前松岡藩士で軍学者の片山良庵や、福井藩士で歌人の笹川道張など、著名な人物が埋葬されています。彼らの存在も、この寺院の歴史的意義をより一層高めています。

アクセス方法

泰遠寺へのアクセスは非常に便利です。福井鉄道福武線商工会議所前駅から徒歩約3分と、公共交通機関を利用して容易に訪れることができます。

関連情報

泰遠寺の歴史に関する情報は、いくつかの文献に記録されています。例えば、『若越墓碑めぐり』（石橋重吉編, 1932）、『稿本福井市史 下巻』（福井市編, 1941）、『日本歴史地名大系 18 福井県の地名』（平凡社, 1981）、『角川日本地名大辞典 18 福井県』（角川書店, 1989）、そして河端しのぶ、藤田勝也による論文「近世福井城下における寺町・寺院集積地の景観形成と地域性」などです。さらに、『松岡町史 上巻』（野村英一, 1978）も参考資料として挙げられます。

泰遠寺山古墳については、春日山古墳（永平寺町）との関連性も研究されています。

このように、泰遠寺は歴史的にも文化的にも重要な寺院であり、その存在は福井市の歴史を語る上で欠かせないものです。 訪れる際には、静寂の中で歴史に思いを馳せることができるでしょう。

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