津国汽船

津國汽船株式会社について

津國汽船株式会社は、かつて岡山県玉野市を拠点として運営されていた海運会社です。主に瀬戸内海においてフェリー航路を運航し、地域の交通の一端を担っていました。社名の津國は創業者の姓に由来しており、歴史ある企業でしたが、経営環境の変化により最終的には破産に至りました。

経営破綻の経緯

経営破綻は2012年に発生しました。経営に影響を与えた要因としては、利用者の減少や燃料費の高騰が挙げられます。具体的には、2012年5月31日に岡山地方裁判所に自己破産を申請し、総負債は約4億7000万円となりました。破産手続きの開始は翌日、6月1日となり、その日は同社が運航していた航路の休止も中国運輸局に届け出られました。

航路の概要

津國汽船が運航していた航路にはいくつかの種類がありました。経営破綻時点での主な航路は、宇野港から直島の風戸港へのものです。この航路では1日8往復が運航され、航路距離は3.5km、所要時間は約15分でした。日曜日や祝日は運休となり、車を伴わない徒歩客は利用できませんでした。また、おそらく重要な情報として、航路の半数は危険物優先便として運航されていたため、乗用車の利用には制限がありました。加えて、航路ではありませんが、豊島から直島の中間処理場へ産業廃棄物を輸送するための船員派遣も行われていました。

過去には、宇野港から高松港への宇高航路も存在しました。この航路は1959年に設立され、「日通フェリー」として日本通運との提携の下で運航されました。最盛期には4隻で32往復が行われるなど、活況を呈していました。ところが、競合する宇高国道フェリーが早期から徒歩客を受け入れていたのに対し、津國汽船は長年、徒歩客の利用を認めていなかったため、徐々に利用者が減少していきました。1984年には、日本通運から航路の免許を引き受け、自社運航となりましたが、2009年には利用者減少を受けて撤退せざるを得ませんでした。

船舶の概要

津國汽船が運航していた船舶は、多くが「日通丸」という名前で知られていました。中でも第十一日通丸は1967年に進水し、448トンから625.21トンに増加した後、全長は55m、旅客定員は292名から30名へと変化しました。この船は1977年に船体延長が行われたものの、建造から40年以上が経過していました。

他にも、第一日通丸、第二日通丸、第三日通丸などの様々な船舶が在籍しており、いずれも歴史的な背景を持つ古い船でした。特に第三日通丸はフィリピンへ売却された後、回航中の荒天で沈没してしまいました。

また、2004年に四国フェリーとの共同運航が開始された際、多くの船舶が引退しました。その中には第十八日通丸も含まれ、最終的には加藤汽船に売却された後、改名されて運航されることになりました。

結論

津國汽船株式会社の歴史は、地域に寄与した海運業者の一つとしての顔を持ちながらも、厳しい経営環境によって幕を閉じたことを物語っています。これらの変遷を通じて、現在の日本の海運業界の変化や課題を感じ取ることができるでしょう。

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