津軽信寧

津軽信寧の生涯

津軽信寧（つがる のぶやす）は、江戸時代中期の大名であり、陸奥国弘前藩の第7代藩主です。彼は元文4年（1739年）に誕生し、父は6代藩主の津軽信著です。信寧は6歳の若さで父の跡を継ぎ、藩主としての責任を担うことになりました。時代は困難な状況にあり、信寧の治世中には様々な問題が勃発しました。

信寧が相続した際、一族の津軽著教に3000俵を分け与えましたが、著教が死亡したため、この俵は再び藩に戻されました。彼は、この早い段階から家の経済を意識していたと言えます。宝暦3年（1753年）には9代将軍の徳川家重に御目見えし、同年の12月には従五位下土佐守に叙任されました。

信寧の治世において、弘前藩は多くの天災に悩まされ、特に飢饉が領地に大きな影響を及ぼしました。これにより、藩の経済は悪化し、借金は35万両にも達しました。特に藩内の重臣が商人と結託して不正に米を買い占め、暴利をむさぼるなど、藩政の信頼も揺らぎました。このような状況の中で、信寧は財政の再建を試みることになります。

明和3年（1766年）に発生した地震によって弘前城が被害を受け、その修復には幕府から4000両を借り入れる必要がありました。この借金は後々の財政問題をさらに深刻化させ、藩の立て直しを一層困難にしました。そして天明元年（1781年）には、天明の大飢饉が襲いかかります。この未曾有の飢饉は藩にとって決定的な打撃となり、信寧は1784年12月25日に飢饉対策としてさらに1万両の借金を強いられました。

信寧はこのような厳しい状況から脱却し、藩の財政を立て直そうと努力をしていましたが、彼は天明4年（1784年）に急死してしまいます。信寧の急逝は、藩にとってさらなる混乱をもたらし、彼の後を継いだのは長男の信明でした。

信寧の系譜にも注目する価値があります。彼の正室は松平明矩の娘である綾姫であり、側室には歌喜や妙詮院がいました。信寧には長男の津軽信明があり、彼もまた重要な役割を果たします。また、信寧の偏諱を受けた津軽寧親は、黒石津軽家第6代当主として継承し、最終的には弘前藩の第9代藩主となりました。

歴史的な背景や個々人の繋がりを考慮すると、津軽信寧は困難な時代を生き抜いた名将であり、藩主としての資質を持った人物として評価されています。彼の試行錯誤や影響は、弘前藩の歴史においても重要な位置を占めています。

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