津軽寧親

津軽寧親（つがる やすちか）

津軽寧親は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した旗本・大名であり、陸奥黒石領の6代当主、後に陸奥弘前藩の9代藩主となりました。彼は生涯を通じて藩政の改革や文化事業の推進に努めました。

生涯の概要

寧親は明和2年（1765年）に、陸奥弘前藩分家の黒石領5代当主である津軽著高の長男として誕生しました。安永7年（1778年）、彼は4000石の黒石領の家督を継ぎ、同年に10代将軍・徳川家治に御目見えします。その後、天明2年（1782年）には、名の一部に本家の藩主から偏諱を受けて「寧親」と改名し、藩の重要な役割を担うことになりました。

藩主としての活動

寧親は寛政3年（1791年）に、本家の藩主・津軽信寧の養嗣子として陸奥弘前藩の藩主に就任しました。同年、11代将軍・徳川家斉にも御目見えし、従五位下・出羽守に叙任されます。さらに、文化2年（1805年）には蝦夷地警備の功績により石高が7万石に増加しました。そして文化8年（1812年）には、同じく蝦夷地警備の業績が認められ、10万石に昇進しました。

藤原氏の改革を基に、寧親は藩政においてさまざまな政策を実施しました。その一環として、他藩からの移民を受け入れるために人寄役を設置し、藩校・稽古館を設立しました。また、法令「寛政律」を制定するなど藩の改革に尽力しました。しかし、かつて信明の時代に進められた武士による農村復興政策は、寧親の時代には失敗に終わっています。

知略と課題

寧親が藩主として活躍する中で、さまざまな困難にも直面しました。1793年には西津軽地震が発生し、領内は大きな被害を受けました。また、彼は急速な改革推進によって財政が逼迫し、重税を領民に課す必要に迫られました。これが原因で、文化10年（1813年）には民次郎一揆と呼ばれる反乱が引き起こされる事態となります。

文政4年（1821年）には、藩の家格が盛岡藩より上昇したことで、盛岡藩関係者によるテロ事件も発生しました。這うような政治的緊張の中で寧親は、文政8年（1825年）に次男の信順に家督を譲り隠居生活を始めます。隠居後は俳句を嗜み、彼自身の俳号として「如山」「栖鶴」「琴亭」などを残しています。

寧親は天保4年（1833年）に江戸で亡くなり、享年69歳でした。彼の生涯や業績は、江戸時代の大名としての役割や地域社会への影響を考える上で重要なものとなっています。地元の文化や人材育成に対しても大きな貢献を果たした彼の存在は、現在にもその足跡を残しています。

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